軸外し放物面鏡は、光学業界では重要な設計形態です。この記事では、製造元の仕様に従って軸外し放物面ミラーをモデル化と、主光線ソルブを使用して像面の中心を主光線の中心に置く方法を紹介します。
著者 Nam-Hyong Kim
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序論
軸外し放物面ミラーには、像面に到達する際に入力ビームを遮蔽しなくてすむという利点があります。OpticStudio では、放物面であるかどうかに関わらず、面の軸外し部分を簡単にモデル化できます。このチュートリアルでは、軸外し放物面ミラーをモデル化する方法について説明します。ここに示す概念は、軸外し放物面ミラーに限らず、ディセンタを適用したあらゆる面に適用できます。
放物面鏡の設計仕様
ここでは、一般に入手可能な軸外し放物面ミラーをモデル化します。この演習の目的は、光軸 (Z 軸) 上の任意の点で X 軸を中心としてミラーをティルトできるようにすることです。ミラーの仕様は次のとおりです。
軸外し距離 | 150mm |
焦点距離 | 1000mm |
部品の物理的直径 | 203mm |
基板の後面は、光軸に対して垂直です。
このチュートリアルで使用する手順に通じていない場合は、先に以下の記事を参照してください。
シングレットレンズの設計方法
シーケンシャル光学部品にティルトとディセンタを適用する方法
基本的な形状の入力
次の光学系パラメータを設定します。
- 100 mm の入射瞳径をシステム アパチャーとして設定します ([システム エクスプローラ] (System Explorer) → [アパチャー] (Aperture))。
- 値 X=0 および Y=0 の位置に 1 つの視野を設定します ([システム エクスプローラ] (System Explorer) → [視野] (Fields))。
- レンズ ユニットをミリメートルに設定します ([システム エクスプローラ] (System Explorer) → [単位] (Units))
- 波長を 0.550 um に設定します ([システム エクスプローラ] (System Explorer) → [波長] (Wavelengths))
レンズ データ エディタで次の面を入力します。像面の半径は、30 mm のユーザー定義半径です (半径の列に「U」が示されています)。
標準面のサグ (z 座標) は、以下の式で求められます。
ここで c は曲率 (曲率半径の逆数)、r は動径座標 (レンズ ユニット)、k はコーニック定数です。コーニック定数が -1 より小さい面は双曲面、-1 の面は放物面、-1 より大きく 0 未満の面は楕円面、0 の面は球面、0 より大きい面は扁平楕円面です。ミラー面を放物面にするには、コーニック定数として -1 を入力します。
ミラーの焦点距離は曲率半径の半分であるため、[曲率半径] (Radius) 列に -2000 mm を入力します。曲率中心はミラーの左側 (-Z 方向) にあるので、曲率半径の符号は負です。面 1 と像面は同じ位置にあるので、レイアウトでは面 1 を非表示にして、その場所には像面のみを表示するようにします。[面のプロパティ] (Surface Properties) ダイアログで次のプロパティを設定します。
ミラーの基板を平坦面として光軸に直交した配置にするには、[面のプロパティ] (Surface Properties) ダイアログで次のオプションを選択します。製造元では基板の厚みを指定していないので、40 mm の厚みを選択します。
次の設定で 3D レイアウトを開きます。
軸外し距離の追加
面 2 のプロパティで Y 方向に -150 mm のディセンタを指定します。
製造元の仕様から、軸外し距離は 150 mm、ミラーの物理的直径は 203 mm です。これらの値から正しいアパチャーのサイズと位置を指定します。
3D レイアウトを開きます。
光線が座標系から離れながら伝搬していることがわかります。像面と主光線が直交し、それぞれの中心が一致した配置にするには、像面の前に座標ブレーク面を挿入し、Y 方向のディセンタのパラメータと X 軸を中心としたティルトのパラメータに主光線ソルブを設定します。これにより、この面の中心に主光線が法線方向から入射するうえで必要なディセンタとティルトの量が自動的に計算されます。
レイアウトを更新します。
これで完了です。
KA-01345
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