回折光学素子は多くの光学設計者にとって理解する上で重要です。回折光学素子の実装は光学系において多岐に渡り使用され、OpticStudioのシーケンシャル モードでシミュレーションが可能です。この記事ではOpticStudio で回折面をモデル化する方法及びバイナリ 2 面を使用して回折光学エレメントをモデル化する方法を取り上げています。この記事では、サンプル ファイルを使用してバイナリ 2 面の使用方法を紹介します。サンプル ファイルは、この記事の記事添付ファイルとしてダウンロードできます。
著者 Nam-Hyong Kim
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Introduction
OpticStudio で扱う面の多くには、屈折力のほかに回折力を設定できます。回折力は屈折率や面のサグとは無関係であり、回折力によって光線の位相が変化します。Zemax で回折面をモデル化する方法については、記事「OpticStudioで回折面をモデル化する方法」を参照してください。
バイナリ 2 面
バイナリ 2 面の回折力により、その面上にわたって次の式に従う連続的な位相変化が発生します。
係数 Ai はラジアン単位です。
面上では位相が連続的に変化するので、バイナリ 2 面は理想的なバイナリ回折光学エレメントになり、そのバイナリ ステップ (離散) サイズは無限小になるか、少なくとも波長と比較してきわめて小さい値になります。
一般的に、バイナリ 2 面でモデル化した物理 DOE には、次の図に示すように、頂点からの半径方向距離の関数として周期が変化する回折領域があります。Zemax では各回折領域の動径座標を計算できます。この座標は、隣接する回折領域との間に正確に 2π の位相差が発生する位置です。
図 13.5 『Optical System Design』より抜粋
特定の動径座標でバイナリ 2 面によって追加される位相を波数で表した値は、波長に関係なく一定です。波長によって異なる光路長 (OPL) は次の式で求められます。
OPL = (位相 * 波長)/ (2π)
次のレイアウトはバイナリ 2 面によって色に発生する効果を示しています。
バイナリ 2 を用いた色消し : 初期設定
バイナリ 2 面は色消しに使用されることが普通です。
長い波長が短い波長よりもレンズからの Z 方向距離が遠い位置で焦点を結ぶ簡単なシングレット レンズを考えます。このレンズにバイナリ 2 面などの回転対象の DOF を組み合わせると、縦色収差を最小限に抑えることができます。
図 13.13 『Optical System Design』より抜粋
上図のバイナリ 2 面の設計プロセスを検討します。精通していない手順がこの演習にある場合は、記事「シングレット レンズの設計方法 Part 1:初期設定」を参照してください。
ここでは、縦色収差を補正する回折次数 m=1 のバイナリ 2 面を持つ DOE を設計します。設計の全体は、この記事の添付ファイルのダウンロードができます。
- 光学系の長さの単位を mm に設定します ([システム] (System) → [全般] (General) → [単位] (Units))。
- 30 mm の入射瞳径をシステム アパチャーとして設定します ([システム] (System) → [全般] (General) → [アパチャー] (Aperture))。
- 波長を F、d、C に設定して ([システム] (System) → [波長] (Wavelengths))、[波長データ] (Wavelength Data) ウィンドウのドロップダウン メニューで [F,d,C] (F,d,C) を選択します。
- LDE で次のパラメータを使用して各面を設定します。
3D レイアウトにシングレットが表示されます。
バイナリ 2 面を用いた色消し: 回折次数の最適化
RMS スポット半径のデフォルトの評価関数を使用して、最良の焦点が得られるようにこの光学系を最適化します。
After optimization the variable in the editor, the thickness of surface #2, will be close to 51.608 mm.
The longitudinal aberration plot under Analysis...Miscellaneous...Longitudinal Color shows significant amount of longitudinal color aberration.
最適化の後、エディタでは変数である面 2 の厚みが 51.608 mm に近い値になります。
[解析](Analysis)→[収差](Aberrations)→[縦収差](Longitudinal Aberration) にある縦収差プロットには、かなりの量の縦色収差が示されています。
ここでバイナリ 2 面に一定の回折力を追加します。
追加データ エディタを開き、次のパラメータ値を設定して、r^2 および r^4 の係数を変数に設定します。
光学系を再度最適化します。
縦色収差が以前よりもはるかに少なくなることがわかります。
バイナリ 2 面を用いた色消し: 位相面のプロファイルの解析
これでバイナリ 2 面の係数を設定し、位相プロファイルを把握できたので、作成する 2*m*π の各回折領域の動径座標を計算する必要があります。図 13.9 (a) に示すように、各回折領域の位相は、隣接する領域の位相と正確に +2π ラジアンまたは -2π ラジアン異なります。
[プログラミング](Programming)→[マクロ リスト](Macro List)内にある「phases.zpl」を実行し、画面の指示に従って面 2 を指定します。
得られた結果には 246 個の回折領域が存在し、最後の領域が面の頂点から 14.94 mm の位置にあることがわかります。
下図は、この DOE 面で考えられるさまざまなプロファイルを示しています。
図 13.9 『Optical System Design』より抜粋
References
1. Fisher, Robert Edward., Biljana Tadic-Galeb, and Paul R. Yoder. Optical System Design. New York,: McGraw-Hill Professional, 2008.
2. Battersby, Colin. "Zemax OpticStudio Tools for Diffractive Optics." Lecture.
3. Webinar: Tools for diffractive optics
KA-01347
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