マルチモード ファイバ結合

この記事では、幾何光学的像解析機能を使用してマルチモード ファイバ結合効率を計算する方法を紹介します。サンプル ファイルは、「サンプル ファイル」セクションのリンクからダウンロードできます。
 

著者 Nam-Hyong Kim, Updated by Kristen Norton

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添付ファイル

Introduction

OpticStudioは、シングルモードまたはマルチモードファイバの結合をモデル化するために使用することができます。幾何光学的光線を使用してマルチモード ファイバ結合をモデル化するには、多くの横モードをサポートできるように、ファイバ コアの直径が波長の 10 倍以上であることが必要です。2 つまたは 3 つのモードがサポートされていることからファイバがマルチモードである場合は、物理光学を使用する必要があります。この記事でいう「マルチモード」とは、ファイバをライトパイプとして扱うことができる程度の多数のモードがサポートされている状態を意味します。幾何光学的像解析では、物体面で特定のサイズと形状を持つ拡張光源から任意の面に放射照度を生成できます。さらに、評価面で定義可能な閾値よりも大きい入射角の光線を除外できます。ここでは、添付されたサンプル ファイルで幾何光学的像解析機能を使用し、マルチモード ファイバ結合効率を計算する方法を紹介します。

幾何光学的像解析を使用したマルチモード ファイバ結合効率の計算 

この記事の冒頭で示したサンプル ファイルをダウンロードして開きます。このファイルは、コア半径が 0.1 mm で開口数 (NA) が 0.2 のマルチモード ファイバとの結合をモデル化しています。ここでは、ファイバも含めた空気とガラスの界面で発生するフレネル (反射) 損失は無視します。

3D_layout

 

ファイバ コアのサイズは、半径が 0.1 mm の円形アパチャーを像面上で指定することによってモデル化します。このファイルでのアパチャー タイプは「浮動」なので、円形アパチャーのサイズは像の半径で制御します。

Lens_data

 

[解析] (Analysis) タブ → [拡張光源解析] (Extended Scene Analysis) → [幾何学的像解析] (Geometric Image Analysis) を選択して、[幾何学的像解析] (Geometric Image Analysis) ウィンドウを開きます。
 

Geometric Image Analysis

 

用意されているサンプル ファイルには [幾何学的像解析] (Geometric Image Analysis) ウィンドウがすでに存在しています。使用する設定は次のとおりです。

Geometric Image Analysis_settings

 

受光ファイバの NA を [NA] (NA) ボックスで指定します。点光源が軸上の無限遠に配置されていると想定しているので、[視野サイズ] (Field Size) (拡張光源のサイズ) はゼロであり、[ファイル] (File) オプションで制御する光源の形状は意味を持ちません。評価平面上で対象とする領域は、[画像サイズ] (Image Size) オプションで決まりますが、これはディテクタのサイズと考えることもできます。光線数を 10000 に制限して、計算速度を速くします。

IMAE オペランド

結合効率は 2% をやや上回る値であり、[幾何学的像解析] (Geometric Image Analysis) ウィンドウにテキストで表示されます。

Image_diagram

 

次に、この結合効率が最大になるように像面の位置 (受光ファイバの位置) を最適化します。メリット ファンクション エディタでは IMAE オペランドによって像面での結合効率が得られます。[幾何学的像解析] (Geometric Image Analysis) ウィンドウには、メリット ファンクション エディタに用意されている列の数を上回る数の設定があるので、IMAE オペランドでは前回使用された解析ウィンドウで保存された設定が使用されます。これらの設定は *.CFG コンフィギュレーション ファイルに保存され、[幾何学的像解析] (Geometric Image Analysis) の設定画面で [保存] (Save) ボタンをクリックすると更新されます。
 

Geometric Image Analysis_save

 

この更新により、保存されている設定を使用することで、正しい結合効率が IMAE オペランドに報告されるようになります。この値は、[幾何学的像解析] (Geometric Image Analysis) ウィンドウに報告される値とわずかに異なります。IMAE オペランドでは、さまざまな光線セットがランダムに使用されるからです。

Merit_function_editor

 

面 3 の厚みはすでに変数として設定されているので、[最適化] (Optimize) タブ → [最適化] (Optimize!) をクリックして光学系の最適化を実行できます。

Optimize

 

アルゴリズムとして直交降下法(OD 法) を選択して [開始] (Start) をクリックします。


 

評価関数の値が急激に減少します。最適化が完了したところで [終了] (Exit) をクリックします。メリット ファンクション エディタを更新すると、結合効率がおよそ 54% に向上していることがわかります。これは [幾何学的像解析] (Geometric Image Analysis) ウィンドウでも確認できます。

Image_diagram_2

 

フレネル損失の考慮

次に、N-BK7 を材料とするコアを想定します。ファイバ コアも含め、すべての空気とガラスの界面で発生するフレネル損失を考慮するには、 [幾何学的像解析] (Geometric Image Analysis) の設定で偏光オプションを有効にする必要があります。
偏光計算では、両凸レンズのバルク吸収も考慮されます。

像面でファイバ コアのガラス材料として N-BK7 ガラスを指定し、[幾何学的像解析] (Geometric Image Analysis) の設定で [偏光を使用] (Use Polarization) をチェックします。
 

Use Polarization

 

メリット ファンクション エディタで正しい効率が表示されるように、この解析設定を必ず保存します。
新しい結合効率は 47% をやや上回る値まで低下します。
 

Image_diagram_3


 

KA-01351

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