Mac コンピュータで OpticStudio やその他の Zemax ソフトウェアを実行する方法

OpticStudio は、Intel を搭載したすべての Mac コンピュータで実行できます。Mac コンピュータ上で Windows と OpticStudio を使用するには、Apple 社の Boot Camp ソフトウェアまたは Parallels Desktop や VMware Fusion などのサードパーティーの仮想化ソフトウェアを使用します。この記事では、Intel を搭載した Mac コンピュータで OpticStudio を実行するために必要な手順、および各種手順どうしの差異について解説します。また、Mac コンピュータで OpticStudio を実行する各種の方法に見られるパフォーマンス上の差異についても取り上げます。

著者 Don Dickinson

序論

Zemaxのすべてのソフトウェアを正しく動作させるには、最新のWindowsベースのオペレーティング システム(OS)が必要です。例として、Opticstudioのシステム要件を参照してください。Zemax は Mac OS 上でネイティブに動作するアプリケーションを開発していません。しかし、一部のAppleハードウェアではWindowsを実行することができます。この記事では、これらのプラットフォームでZemaxソフトウェアを実行するためのいくつかの方法について説明します。

Appleプラットフォームは Zemax が公式にサポートしていないため、継続的な互換性テストは行っていません。そのため、今後、状況が変化した場合に、当社のソフトウェアがこの環境で動作し続けることを保証するものではありません。本情報は、あくまでも目安として、そのままの形でお考えください。 

ソフトキーライセンスに関する重要なお知らせ ソフトキーライセンス(物理的なUSBキーがないもの)は、Bootcampと互換性がない ため、アクティベートしないでください。ソフトキーは、Parallels、VMware、またはVirtualboxを使用している場合にサポートされます。

ZemaxソフトウェアとAppleシリコン(M1)ARMプロセッサー

2020年以降、AppleはIntel CPUではなく、独自のARMベースのプロセッサを搭載した新しいマシンのリリースを開始しました。2021年1月現在、ARM版Windowsのライセンスと互換性の問題により、これらのプラットフォームで動作するZemaxアプリケーションは見つかっていません。詳細については、このコミュニティ投稿(英語)を参照してください。ZemaxはこのCPUプラットフォームで製品をテストしておらず、将来的に互換性が確保されることを保証することはできません。

Intel を搭載した Mac コンピュータで OpticStudio を実行する方法

2006 年、Apple 社は Mac コンピュータに Intel プロセッサの搭載を開始しました。この切り替えにより、Microsoft Virtual PC などのエミュレーション ソフトウェアを使用せずに、Mac 上で Windows ベースのネイティブ オペレーティング システムを実行できるようになりました。OS/X 10.5 から、Apple 社は Boot Camp (デュアル ブート) オプションを導入しました。他社も Mac OS 環境で Windows を実行する仮想ソフトウェアをリリースしています。サード パーティー製の仮想ソフトウェア パッケージで代表的なものは、Parallels Desktop と VMware Fusion の 2 つです。なお、Zemax LLC では、Boot Camp、Parallels Desktop、VMware Fusion、または Windows OS を Mac コンピュータにインストールする作業をサポートできません。

 

Boot Camp vs. Parallels Desktop、VMware Fusion または Virtualbox

BootCampでWindowsとOpticStudioを実行する場合と、Parallels DesktopやVMware Fusionで実行する場合では、いくつかの違いがあります。主な違いは、Boot Campでは、Windows OSまたはMac OSのいずれかを起動することができます。それぞれのOSは、ハードディスクの異なるパーティションにインストールされ、コンピュータはどちらか一方から起動します。

一方、Parallels Desktop、VMware Fusion、Virtualboxでは、WindowsをMac OSで動作する別のプログラムのように使用することができます(仮想化)。ユーザーは、基盤となるMac OSの上で動作する「仮想マシン」を作成します。これにより、ユーザーはMac OSで直接起動し、Windowsとそのプログラムを同時に使用することができます。

3つのオプションはすべてマルチコアをサポートしていますが、仮想化を使用する場合、いくつかの制限があります。Boot Campは基本的にWindowsのネイティブインストールなので、利用可能なコアやメモリ(RAM)はすべてWindowsによって検出され、利用されます。Parallels Desktop、VMware Fusion、Virtualboxは、特定のシステムリソースが割り当てられた「仮想マシン」を作成します。仮想化ソフトウェアでマルチコアコンピュータを使用する場合、セットアップ時に仮想マシンに割り当てるプロセッサとメモリ(RAM)の数を指定する必要があります。 

仮想マシンは、コンピュータのリソースをホストOSと共有していることに注意してください。一般に、システム・リソースはホストが優先されます。OpticStudio の実行中に、Mac OS でリソース集約的なアプリケーションを実行する場合は、注意が必要です。

 

Bootcamp、Parallels、Vmware、Fusion または Virtualbox をセットアップする際の推奨事項

  • Opticstudio に必要なグラフィック サポート、ドライバー、組み込みについての前提条件が優れている Windows 8 、10、または11 をインストールすることをお勧めします。また、最新バージョン(10および11)は、セキュリティ パッチも最新の状態に保たれています。 
  • Bootcamp パーティションまたは Windows 用仮想ハードディスク ドライブのサイズを指定する必要がある場合は、Windows の更新と Opticstudio の作業ファイル用に 100 GB などのスペースを確保することをお勧めします。
  • 最低でも 2 GB の RAM を割り当てるようにしてください。 Macbook で RAM が 16 GB 以上搭載されている場合は、全体的なパフォーマンスにあまり影響を与えずに、VM に 4 〜 8 GB の RAM を割り当てることができます。
  • 「自動」設定ではなく、512 MB 以上のビデオ / グラフィックス メモリを設定サイズとして割り当てるようにしてください。
  • Virtualbox では、主にグラフィックス サポートのために「Guest additions」をインストールしてください。https://www.virtualbox.org/manual/ch04.html#additions-windows
  • Vmware fusion では、主にグラフィック サポートのために "VMWare tools" をインストールしてください。https://kb.vmware.com/s/article/1003417 

 

OpticStudio のインストール

Boot Camp、Parallels Desktop、または VMware Fusion の下で Windows のセットアップが完了すると、通常のインストール手順で OpticStudio を Mac にインストールできます (シングル ユーザ ライセンスのインストール手順については、こちらの記事を参照してください)。お使いの Mac がサーバ上のネットワーク ライセンス につながる場合は、こちらの記事のクライアント セクションを参照してください。

ソフトキー ライセンスに関する重要な注意事項:Boot Camp ではソフトキー ライセンスを使用できません。ソフトキーをサポートしているのは、Parallels や VMware をはじめとする仮想マシン ソフトウェアです。
USB ライセンスに関する注意事項:MacBook Air、Parallels Desktop、および黒の USB ライセンス キーの組み合わせで OpticStudio を実行する場合、追加の手順が必要になります。この記事の「ヒントとコツ」を参照してください。

下図は、Parallels Desktop と Windows 10 を使用し、Mac (OS X El Capitan) 上で OpticStudio を実行しているスクリーンショットです。

Mac Example

仮想マシンからネットワークライセンスサーバーにアクセスする

仮想マシン上で直接ライセンスをアクティベートするのではなく、組織のネットワーク上でライセンスを使用しようとする場合、この記事に従って設定でライセンスサーバーの名前を指定する必要がある可能性があります。

この方法でライセンスが表示されない場合は、VMクライアントからライセンス サーバーに "Ping "を送ることができるかを確認する必要があります。

そうでない場合は、Windowsではなく、VMソフトウェア自体のネットワーク設定に問題がある可能性があります。VMを「ブリッジ」モードに設定しなければならないことも確認されています。これにより、ネットワーク接続をVMと直接共有できるようになります。  以下は、VMware 14の例です。

Picture1.png

 

パフォーマンス :Boot Camp、Parallels Desktop、VMware Fusion それぞれの比較

前述のとおり、Mac コンピュータ上で Windows を実行する方法として、パーティション化と仮想化は大きく異なります。したがって、OpticStudio を実行すると、両者の間にパフォーマンスの差異が発生することは当然予想できます。この点を解明するために、MacBook Air (Intel i5 コア、1.4 GHz、2 GB RAM) で Boot Camp、Parallels Desktop、および VMware Fusion の下にインストールした Windows 10 でそれぞれのパフォーマンスを比較しました。テスト時にこの Mac に相当する性能の Windows ノート PC は用意できませんでしたが、それ以外の点が同じであれば、Boot Camp で実行するWindows でも、Windows ノート PC でのパフォーマンスが得られると考えられます。

実行した 2 種類のテストでは、それぞれの設定でシーケンシャル光線追跡とノンシーケンシャル光線追跡の実行速度を測定できるようにしています。パフォーマンスの測定結果を以下の表に示します。この結果は、4 回の実行結果の平均値です。

シーケンシャル光線追跡の比較では、ファイル Samples\Sequential\Objectives\Double Gauss 28 degree field を使用してパフォーマンス テスト ([設定] (Setup) タブ→ [パフォーマンス] (Performance)) を実行しています。判断基準は 1 秒あたりの光線と面との交差回数 (RSS) で、この値が大きいほどパフォーマンスは高くなります。

ノンシーケンシャル光線追跡の比較では、ファイル Samples\Non-sequential\Geometry Creation\Boolean Example 3 - a diffractive scattering boolean object を使用して解析光線追跡 ([解析] (Analyze) タブ→ [光線追跡] (Ray Trace)) を実行しています。判断基準は光線追跡の実行時間で、この値が小さいほどパフォーマンスは高くなります。

 

Boot Camp 6.0

で動作する Windows 10

Parallels Desktop 11.0

で動作する Windows 10

VMware Fusion 8.0

で動作する Windows 10

シーケンシャル 光線追跡 (RSS 回数) 3800 万 3400 万 3500 万
ノンシーケンシャル 光線追跡 (分) 1.72 1.65 1.8

 

仮想化はある程度のオーバーヘッドを必要とすることから、光線追跡が遅くなると予想されましたが、3 種類の設定間の差はほぼ無視できる範囲であることがわかります。

 

Parallels、Vmware Fusion、Virtualboxでレイアウトプロットの表示がブランクまたはクラッシュする。 

一部のコンピュータ (すべてではありません) では、Parallels を使用するとレイアウト プロット (2D および 3D シェーディング モデル) が正しく表示されません (通常、空白またはクラッシュします)。Parallels の新しいリリースでは、統合されたグラフィックサポートが改善されているため、この調整は必要ありません。いくつかのオプションがあります。

Virtualboxでは、主にグラフィックサポートのために「Guest additions」をインストールしてください。https://www.virtualbox.org/manual/ch04.html#additions-windows

Vmware fusion では、主にグラフィックサポートのために "VMWare tools" を必ずインストールしてください。 https://kb.vmware.com/s/article/1003417 

  • オプション 1 - Vmware と Virtualbox では、Vm の設定に「3D アクセラレーションを有効にする」というオプションがあるので、そのボックスにチェックを入れます。. https://www.virtualbox.org/manual/ch04.html#guestadd-video  https://docs.vmware.com/en/VMware-Fusion/12/com.vmware.fusion.using.doc/GUID-C0E9FDAC-BC40-4A6B-8940-013597CA5E5B.html 
  • オプション2 - OpticStudioのSetup(セットアップ)- Project Preferences(プロジェクト環境設定)- Graphics(グラフィックス)にあるUse DirectX 11 オプションを両方とも無効化します。この設定を変更した後、OpticStudio を再起動します。
  • オプション 3 - これが VMware または Virtualbox で行われ、上記で解決しなかった場合、Windows 8.1、10、または 11 がインストールされていることを確認してください。Windows 7 は、Opticstudio に対して適切なグラフィック サポートを持っていません。以下の回避策をご参照ください。 

上記のいずれにも該当しない場合の対処法 Opticstudio の [設定] - [プロジェクト環境設定] - [グラフィック] を開きます。クラシックモードを有効にする] にチェックを入れ、[モダン グラフィックスを無効にする] を [すべてのプロット] に設定します。これによりOpticstudio の "シェーディング モデル" オプションは、モダン グラフィックスが有効であることに依存しているためです。

 

ヒントとコツ

Zemax では Boot Camp、Parallels Desktop、VMware Fusion に対するサポートを提供できませんが、明らかになっている問題点の解決に役立つ情報は、入手したそのままの形で積極的に提供していきます。有益な情報があれば、是非 support@zemax.comコミュニティ までお送りください。その内容をこのページに追加させていただきます。

 

ヒント 1: MacBook Air と Parallels Desktop の組み合わせでは黒の USB キーを認識できない問題 

このセクションは、Opticstudio の黒の USB ライセンスを持つユーザーにのみ適用されます。緑または赤の USB ライセンスをお持ちの場合は、このセクションは該当しません。

Windows で OpticStudio と Sentinel キードライバを正しくインストールしたうえで、Safenet のウェブサイト から Sentinel システム ドライバ (SuperPro\UltraPro\SHK) の Macintosh バージョンをダウンロードして、Mac OS にインストールする必要があります。この手順は省略できません。MacBook Air では、この手順を実行しない限り、どのような手順でもキーを認識できません。

OpticStudio の起動で問題が発生する場合は、拡張機能ファイルである sentinel.kext が存在している可能性があります。その場合、このファイルは、Macintosh HD → System → Library → Extensions にあります。この状態では、キーへのアクセスは Mac OS からのみに制限されます。Windows からキーを使用するには、この拡張機能ファイルをゴミ箱に移動して削除する必要があります。このファイルを削除すると、OpticStudio が正常に動作するようになります。

 

ヒント 2: Mac キーボードでのショートカットの使用

Windows で Mac のキーボードを使用する場合の詳細情報を提供している、Apple 社のサポート ページへのリンクを以下に示します。Windows と Mac ではキーの多くが異なるので、OpticStudio でキーボード ショートカットを多用する場合に、この情報が有用です。

例えば、Macには直接「Insert」キーがないので、マウスを使うのも一つの方法です。エディタで挿入したい行の番号を右マウスでクリック(またはCTRL-クリック)してください。
 
また、VMでInsertに別のキーを定義したい場合、ここにいくつかの追加オプションがあるので、それを利用することもできます。
https://www.tpgi.com/insert-key-usage-in-windows-on-a-mac/#:~:text=Mac%20laptops%20do%20not%20have,that%20Mac%20keyboards%20handle%20it.
 

 

ヒント 3: Parallels Desktop と USB ハードキーとの関連付け

Parallels Desktop では、USB キーなどの周辺機器を接続したときに、そのデバイスを Mac OS または仮想マシン (Windows) のどちらに接続するかを指定する必要があります。

New External Device Detected

 

OpticStudio でキーを検出できるようにするには、仮想マシンへの接続を選択します。

 

ヒント 4: Parallels 11 で DirectX 11 によるレイアウト プロット表示に発生する障害

ParallelsでのMacファイルシステムでのフォルダ共有エラーについて

Opticstudioは、初回使用時にサンプルファイルやカタログをDocuments\zemaxにコピーします。これらのファイルをコピーする際にエラーが発生したり、Opticstudioを開く際に「access denied」エラーや「"Documents "を参照するエラー」が発生する場合は、共有フォルダリストからWindowsの「ドキュメント」フォルダを削除しないと、Opticstudioはサンプルファイルをコピーしたり正しく起動できない可能性があります。
https://download.parallels.com/desktop/v12/docs/en_US/Parallels%20Desktop%20User's%20Guide/32922.htm

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