複雑なフレネル レンズをモデル化する方法

この記事では、溝ごとに異なるデータを定義できる複雑なフレネル レンズをモデル化する方法について説明します。
他の複雑なオブジェクト一般を定義する場合にも役立つチュートリアルです。
 

著者 Mark Nicholson

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Introduction

フレネルレンズは、通常のレンズをフレネル ゾーンと呼ばれる同心円状の輪に分割します。この設計によって、フレネル レンズは同等の球面レンズよりも軽くなり、体積が小さくなります。 フレネル レンズは、光のコリメーションや焦点合わせに特に役立ちます。等価な球面レンズよりも重量と体積を削減できます。フレネル レンズには、灯台の投光器1、背面投影テレビ、太陽光集光器など多くの用途があります。この記事では、単純なフレネル レンズと複雑なフレネル レンズの両方のモデリングの概要を説明します。

フレネル レンズのモデル化

フレネル レンズとは、通常のレンズを、フレネル ゾーンと呼ばれる一連の同心の環状領域に分割したものです。

A_set_of_concentric_annular_sections

 

実用的なフレネル レンズの大多数は、フレネル 1 オブジェクトでモデル化できます。このオブジェクトでは、光学特性だけでなく、ピッチ角 (z 軸に平行であることから非アクティブなフェイスがレンズ本体と成す角度) や終端処理などの製造上のパラメータも詳細に制御できます。付属のサンプル ファイル {Zemax root}\Samples\Non-sequential\Faceted objects\Fresnel lens radial structure.zmx には、優れた例が収められています。これは、非アクティブなフェイスでの全反射によって発生する迷光をはっきりと確認できる例です。

Shaded_model1

 

Shaded_model2

 

TIR レンズ™ などの複雑な結像用途で多く見られる、より複雑なフレネル オブジェクトのモデル化が必要になる場合もあります。

Object_7_face_15

 

このようなレンズは、各フレネル ゾーンに環状非球面レンズ オブジェクトを使用することで、簡単に作成できます。

 

環状非球面レンズ オブジェクト

フレネル レンズをリングごとに精密に制御する必要がある設計には、環状非球面レンズ オブジェクトが最も適しています。

Object_1_face_2

 

このオブジェクトは、両方のフェイスがともに偶数次非球面 (半径方向で最大 16 次の偶数次多項式によるコーニック非球面) の面形状で、最大直径、最小直径、厚みをユーザーが定義できます。複雑なフレネル レンズのモデル化に最適のオブジェクトです。

下図は、単一の偶数次非球面で一方のフェイスを構成し、強い非球面とした 5 つのリングで他方のフェイスを構成した複雑なフレネル レンズの例です。

 

An_example_of_a_complex_Fresnel

 

このレンズは、次のように 5 つの環状非球面レンズ オブジェクトを使用して実現しています。

Five_Annular_Aspheric_Lens_objects

 

(このファイルは、この記事の最後のページからダウンロードできる zip アーカイブに収録されています)。この設定で注目すべき点は以下のとおりです。

  • 最初のオブジェクトから材料をピックアップしているので、リングの材料はすべて同じになります。
  • 各オブジェクトの最大アパチャーの値には、その前のオブジェクトの最小アパチャーの値をピックアップしているので、オブジェクト全体でどのリングでもそのラジアル高さを直接設定できます。この設定に応じて、リングの重複やリング間の空隙が発生しないように、各リングの直下にあるリングの最大半径アパチャーが自動的に調整されます。
  • オブジェクト 2 以降の環状非球面オブジェクトでは、オブジェクト 1 の前側フェイスの曲率半径、コーニック定数、偶数次非球面係数をピックアップしているので、このフェイスには単一の滑らかな非球面形状が設定されます。これには約 40 個ものピックアップ ソルブが必要になるので、その設定を自動化する簡単なマクロを作成しました。
  • 各オブジェクトの後側フェイスの曲率半径、コーニック定数、厚み、偶数次非球面係数をそれぞれ別々に設定してフレネルの溝を形成します。

ピックアップ ソルブを使用してオブジェクトを互いにロックしているため、入力する必要があるのはリング間で異なるパラメータのみです。オブジェクト 1 を他の 4 つのオブジェクトの基準オブジェクトとして使用しているので、オブジェクト 1 を移動すると、オブジェクト 1 に対する相対的な位置が変化しないように他の 4 つのオブジェクトも自動的に移動します。したがって、オブジェクト 1 つを移動するだけで、レンズを単独のユニットとして移動できます。

この例は、OpticStudioのユーザー インターフェイスの重要な利点の 1 つを示しています。単純なオブジェクトを組み合わせることで複雑なオブジェクトを作成でき、さらにピックアップ ソルブと基準オブジェクトを使用することで、このように組み合わせたオブジェクトを単一のオブジェクトのように扱うことができます。

こうして得られたオブジェクトでは、光線追跡、最適化、公差解析を迅速に実行できます。このオブジェクトを機械 CAD パッケージにエクスポートする場合は、ブール オブジェクトを使用して単一のオブジェクトとしてからエクスポートします。この例の場合、環状非球面レンズ オブジェクトをすべて加算してから、矩形体積を減算することで、次のような断面図が得られるようにしています。


 

A_cross-section_view

 

同じ手法で、オブジェクトからスライスなどの特殊な形状を生成できます。このページの末尾にある ZIP ファイルには、この記事で使用したファイルがすべて収録されています。
 

 

References

1. Britten, William A. 2010. The Fresnel Lens. http://lighthousegetaway.com/lights/fresnel.html.

KA-01373

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