OpticStudio による共焦点蛍光顕微鏡の設計方法

この記事では、 OpticStudio のシーケンシャル モードとノンシーケンシャル モードを組み合わせて共焦点蛍光顕微鏡を設計する方法を紹介します。この光学系の設計では、次の 2 つの主要な構成部分を扱います。レーザー光源から顕微鏡対物レンズまでと、顕微鏡対物レンズからチューブ レンズとディテクタまでの部分です。

この記事では、共焦点顕微鏡の設計について一通りの説明をします。また、最適化のためのメリット関数を構築する方法、およびNSCグループに変換ツールを使用してシステムをシーケンシャル モードからノンシーケンシャル モードに変換する方法についても説明します。

Authored By Lisa Li

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記事の添付資料

 

序論

共焦点蛍光顕微鏡法は、サンプルの高解像度3D画像を取得する手段であり、ライフサイエンスや半導体業界で特に役立ちます。高品質の結果を生成するために、顕微鏡は2つの主要部分で設計されています。レーザー光源から顕微鏡対物レンズまでと、顕微鏡対物レンズからディテクタまでです。この記事では、 OpticStudio で共焦点顕微鏡を正確にモデル化する方法を示すことで顕微鏡の設計について一通り説明します。この顕微鏡の対物レンズは購入してダウンロードした後に OpticStudio に追加できる Zebase 又は設計テンプレートの中の K_007 対物レンズを使用しています。

 

システム全体について

共焦点蛍光顕微鏡の光学系は、レーザー照明光源、集光レンズ、コリメータ レンズ、顕微鏡対物レンズ、チューブ レンズ、ディテクタで構成されています。これらの光学部品は、それぞれ下図に示す方向で組み込まれています。

 

A confocal fluorescent microscope’s optical system

 

紫のビームはレーザー光源からの光の伝搬を表しています。赤の太いビームはディテクタで検出する焦点のあった状態の蛍光です。赤の細いビームは、2 番目のピンホールの目的を示すために描かれています。1 番目のピンホールはレーザー光の集光光学系とコリメータ光学系の間に配置されています。2 番目のピンホールはチューブ レンズの後、フォトディテクタの前に配置されています。これらのピンホールを共役位置に配置するために、共焦点顕微鏡の設計が実現します。

ポイント : この顕微鏡は、走査型の共焦点蛍光顕微鏡として設計されてはいませんが、この設計例にはレーザー コリメータ光学系の一群が設けられているので、走査型の共焦点顕微鏡に設計変更する際に参考となるテンプレートとして使用できます。

 

レーザー集光光学系についての設計

レーザー集光光学系は、まずシーケンシャル モードで設計します。ここで例として挙げている光学系のレーザー部分に対する制約は次のとおりです。

 

波長 488 nm (Argon ion laser) & F, d, C
ビーム径 2.5 mm
レンズの数 2
レンズの中心厚 3.0 mm
レンズの半径 5.0 mm

 

はじめに、材料の列で任意のガラスを選択し、集光光学系に必要な面を作成します。レンズ面の曲率半径のみを変更するようにします。必要に応じて、材料の列でガラス代替テンプレートのオプションを使用できます。下図のようにデフォルト評価関数の設定を適用し、RMS スポット半径が最小になるように最適化します。

 

Merit_function_settings

 

レンズのローカル最適化を実行する前に、曲率半径に事前の初期値を適宜設定します。光学系のガラスを変更する必要がある場合は、ハンマー最適化を実行します。目的のダブレットが得られたらすべての変数を固定値にして、光学系の最後に面を 1 つ追加します。この面はピンホールの代わりとして機能するダミー面です。

このピンホールからコリメータ光学系の第 1 面までの距離を 70 mm に設定します。この光学系の最後にコリメータ レンズの面を追加します。この例では、このレンズの厚みを 6 mm としています。続いて、システム エクスプローラの [アパチャー] (Aperture) タブに移動して、[アフォーカル像空間] (Afocal Image Space) ボックスをチェックします。平行光線となったビームの直径は、対物レンズの入射瞳径よりも小さいことが必要です。この制約が満たされるように、レンズの厚みと曲率半径を変更し、調整します。

評価関数ウィザードで新しい評価関数を作成し、ここでは RMS 波面収差が最小になるように最適化します。[OK] (OK) をクリックして最適化を実行します。この光学系から出力される光が平行光線になります。ピンホールから 40 mm の位置にダイクロイック ミラーの位置を表すダミー面を追加します。ピンホールから 40 mm の位置に、K_007 対物レンズを追加します。最終的な光学系は、次の図のようになります。

 

Layout_1

 

チューブ レンズの設計

チューブ レンズの設計は、まず新規ファイルを開き、 ZEBASE から K_007 対物レンズを光学系にコピーすることから始めます。対物レンズ光学系にある最後の部品の後方、40 mm の位置に厚み 1 mm のガラス板を追加し、ダイクロイック ミラーによって光学系全体に発生するディセンタをモデル化します。ティルトとディセンタのアイコンをクリックして、1 mm 厚のガラス面に X 軸を中心とした -45 度のティルトを適用します。

光学系の最後にチューブ レンズのエレメントとなる 4 つのレンズを追加します。ダイクロイック ミラーとチューブ レンズの第 1 面の間に 40 mm の間隔を設定します。チューブ レンズのエレメントを Y 軸方向にディセンタして、ガラス板のディセンタによって発生した移動を修正します。チューブ レンズのこの座標ブレークの後に面を挿入し、固定値として厚み 1 mm を入力します。

光学系の制約は次のとおりです。

 

波長

521 nm (蛍光) & F, d, C (主波長 : d)

倍率色収差 エアリーディスクの半径未満
総光路長 270 mm 未満

空気の中心厚(Ta)
(チューブレンズのみ)

0.8 mm < Ta < 10 mm

ガラスの中心厚(Tg)
(チューブレンズのみ)

1.0 mm < Tg < 6.0 mm

評価関数 RMS スポット半径を最小にするための最適化ウィザードのデフォルト設定

 

視野は

 

視野番号 X Y 重み
1 0 0 3
2 0.06 0 1
3 0 0.06 1
4 0 -0.06 1
5 0.12 0 1
6 0 0.12 1
7 0 -0.12 1

 

各面の曲率半径と厚みを変数として、材質ソルブの [ソルブ タイプ] (Solve Type) を [代替] (Substitute) に設定します。最適化した最終的な光学系は、次のようになります。

 

optimized system

 

ノンシーケンシャル モードへの変換

最初の光学系のファイルを開きます。 [ファイル] (File) リボンの [NSC グループに変換] (Convert to NSC Group) を選択して両方のボックスをチェックし、 [OK] (OK) をクリックします。

 

Convert to NSC

 

変換後、システム エクスプローラのウィンドウで [ノンシーケンシャル] (Non-Sequential) のオプションを次のように変更します。

 

System Explorer window

 

光学系の前に、光源 (楕円) タイプのオブジェクトを挿入します。その X 方向と Y 方向の半幅はいずれも 1.350 mm とします。光源が 488 nm の光のみを出力するように波長番号 1 を光源に設定します。

面 5 の位置に標準面タイプのオブジェクトを挿入し、第 4 面を基準オブジェクトとします。この面が集光レンズ光学系の焦点位置になるように、その Z 位置を調整します。オブジェクト 8 を基準とする面 9 の位置に標準レンズ タイプのオブジェクトを挿入し、第 2 面から 40 mm 離れた位置に配置されるようにします。これがダイクロイック ミラーになります。このミラーに X 軸を中心とした -45 度のティルトを適用します。

次に、[基準オブジェクトの変更] (Modify Reference Object) ボタンをクリックし、 K_007 対物レンズの第 1 面をグローバルな基準として、対物レンズの各部品がそれぞれの直前にあるオブジェクトを基準にするようにします。

 

Modify Reference Object

 

対物レンズの第 1 面を X 軸を中心に 90 度ティルトした後、Y 軸に沿って -40 mm 移動します。ダイクロイック ミラーと同じグローバル Z 位置を維持します。次に、[基準オブジェクトの変更] (Modify Reference Object) で、ダイクロイック ミラーを第 1 面の基準として設定します。

続いてノンシーケンシャル ファイルに結像レンズの光学系を組み込みます。チューブ レンズの面をシーケンシャル モードから変換します。ノンシーケンシャル コンポーネント エディタで [基準オブジェクトの変更] (Modify Reference Object) を使用し、チューブ レンズを構成する各レンズがそれぞれの前にあるレンズを基準とするようにします。次に、すべての面をハイライトして右クリックし、[オブジェクトをコピー] (Copy Objects) を選択します。これらのオブジェクトをノンシーケンシャル全体の最後に貼り付けます。すべてのチューブ レンズの基準オブジェクトを修正して、それぞれの直前にあるレンズを基準とするようにします。基準オブジェクトの番号を変更することで、 ZEBASE 対物レンズの最初のレンズが、最初のチューブ レンズの基準になるようにします。チューブ レンズを Y 軸方向にディセンタし、最初の結像レンズに適用する Z 軸を中心としたティルトを 180 度に設定します。次に、[基準オブジェクトの変更] (Modify Reference Object) ボタンを使用して、ダイクロイック ミラーをチューブ レンズの基準として設定します。この手順が完了すると、X 軸を中心としたティルトが -45 度になります。

次に、光学系を構成する各レンズ面に AR コーティングを施します。ダイクロイック ミラーでは、前面 (対物レンズ側) に FLUORESCEIN、背面に理想コーティング I.99 をそれぞれ施します。FLUORESCEIN は 488 nm を反射し、521 nm を透過しますが、デフォルトのコーティング ファイルには収録されていないので、追加する必要があります。添付ファイルの CONFOCAL FLUORESCENT MICROSCOPE.zar を開く際に FLUOROCOATING.dat ファイルの読み込み、自動的にこのコーティング データを含むコーティング ファイルが使用できるようになります。

最後に、光学系に 2 つのオブジェクトを追加します。一方は標準面、もう一方はディテクタ (色) の各オブジェクト タイプとします。この標準面は、ピンホールをモデル化するために材質タイプを吸収性に設定します。このピンホールは、光学系の中で前方にあるピンホールと共役になる距離に配置します。ピンホールの直後にディテクタを置き、像を取得します。

 

Layout_2

 

サンプルのモデル化

蛍光顕微鏡の試料をモデル化する方法には、光源 (体積矩形) オブジェクトを使用する方法、裏面照射のスライドを使用する方法、フォトルミネセンス機能を使用する方法の 3 種類があります。添付ファイルのノンシーケンシャル ファイルには、試料をモデル化するこれら 3 つの方法が、それぞれコンフィグレーションの 1、2、3 として記述されています。

最初のコンフィグレーション (上図) では、試料面上のビーム径に近似した小さいサイズの光源 (体積矩形) を作成します。目的の蛍光波長の光を全方向に放射するようにこの光源を設定します。このモデルは、第 2 のピンホールが像の先鋭度に与える効果を示します。

第 2 の方法として、裏面照明のスライドを使用できます。試料面に画像をスライド オブジェクトとして配置します。次に、光源 (矩形) オブジェクトを使用してスライドを裏面から照射します。このモデルは、光学系の画像コントラストを示すために使用される傾向があります。

最後の方法として、フォトルミネセンス機能を使用して、この顕微鏡で観察する試料をモデル化できます。顕微鏡の対物レンズにある最後の面の後方、平行光線としたレーザー ビームが焦点を結ぶ位置に、任意の体積オブジェクト (矩形体積、標準レンズ、球体など) を追加します。このオブジェクトの立方体寸法を、観察する試料のサイズと同程度に設定します。この光学系で目標とする試料は、サイズが半径 10 ミクロンの球体オブジェクトです。オブジェクト プロパティの [体積物理特性] (Volume Physics) ウィンドウで、モデルを [フォトルミネセンス] (Photoluminescent) に設定し、使用する蛍光材料のスペクトル データを入力します。スペクトル データのリストは、添付ファイルに詳しく示されている固有フォーマットで記述する必要があります。吸収と発光のスペクトル データが必要です。さらに、励起または量子効率のいずれかのスペクトルを指定する必要があります (いずれか一方でかまいません)。

 

Volume_physics

 

今回のサンプル光学系では、モデルとしてエタノール中のフルオレセインを使用しています。蛍光体積の材質は、エタノールの特性をモデル化するように設定します。ナトリウムの d 線におけるエタノールの屈折率は 1.36168、アッベ数は 59.35 です。
このスペクトル データは、Scott Prahl 博士が提供しているオレゴン医療レーザー センターのオンライン データベースより入手しました。

KA-01536

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