OpticStudio で金属材料を定義する方法

この記事では、OpticStudio で金属材料を追加する方法、およびそれらをシーケンシャル面またはノンシーケンシャル オブジェクトのフェイスに適用する方法を解説します。また、OpticStudio で光学面にコーティングを追加する方法についても説明します。

著者 Kristen Norton

序論

OpticStudio には、材料を定義する方法として以下の 2 種類があります。

(1) 材料カタログを使用する方法
(2) コーティング ファイルを使用する方法

ガラス材料は、材料カタログおよびコーティング ファイルのどちらでも容易に定義できますが、金属材料はコーティング ファイルを使用して追加する方法が最も容易です。ほとんどの金属では、光とのどのような相互作用も、主にその表面または表面から数ミクロンの範囲で発生します。したがって、金属をコーティングとしてモデル化することは、この薄い層の記述として妥当です。

この記事では、OpticStudio のコーティング ファイルに新しい材料として金属を定義する方法、さらにそのコーティングを任意の関連する面またはオブジェクトのフェイスに適用する方法を解説します。

金属コーティングの定義

ガラスなどの誘電体材料の屈折率は実数であり、屈折率の虚部はゼロです。金属の屈折率は複素数です。OpticStudio はこれを次の式によってモデル化します。

ここで、n は屈折率、k は吸光係数です。ZOS では、吸光係数 k が負数であれば、その材料は吸収性です。たとえば、ZOS の規則に従えば、アルミニウムの屈折率は、およそ次の式で表されます。

    

ZOS では、コーティング データをすべてテキスト ファイル フォーマットで定義します。Zemax には、サンプル ファイル COATING.DAT が付属しています。これは、すべての新規レンズで使用するデフォルトのコーティング ファイルです。複数のコーティング ファイルを定義して ZOS のデータ フォルダに保存できます。通常のデータ フォルダの場所は \Documents\Zemax\Coatings です。
なお、一度に使用できるファイルは 1 つのみです。使用するコーティング ファイルの名前はシステム エクスプローラの [ファイル] (Files) セクションで指定します。COATING.DAT の内容を変更した場合、その新しい定義は別名のファイルに保存することを強くお勧めします。これにより、今後の OpticStudio の更新時に、COATING.DAT に対する変更が上書きされることがありません。

コーティング ファイルでは複数のキーワードを使用してコーティングの各種データを定義します。次のようなキーワードがあります。() 内は記述するデータです。

MATE (材質)
TAPR (テーパー プロファイル)
COAT (コーティング)
TABLE (データ点の表で定義したコーティング)
IDEAL (理想コーティング)
IDEAL2 (理想コーティング)


すべての材質およびテーパーの定義を最初に記述し、その後にすべてのコーティング定義が続きます。新しい材料によるコーティングを作成するには、まず MATE データ セクションでその材料を定義する必要があります。MATE データ セクションの構文は次のとおりです。

MATE <user-defined material name>
wavelength real imaginary
wavelength real imaginary

....

引数 wavelength (波長) は必ずミクロン単位として、昇順に記述する必要があります。real の値は、その波長における材料の屈折率の実部です。imaginary の値は、吸光係数です。

このデータ セクションの例を 2 つ示します。これはデフォルトのコーティング ファイル COATING.DAT にある記述です。

MATE データ セクションに定義した材料を COAT データ セクションで参照できます。理想コーティング以外の COAT データ セクションの構文は次のとおりです。
 

COAT <coating name>

material   thickness   is_absolute loop_index   tapername

material   thickness   is_absolute loop_index   tapername

...

ZOS では、コーティング ファイルを最初に読み込む際に、各コーティングを構成する材料が材料のセクションで定義されているかどうかを検証します。参照した材質が定義されていない場合、エラーが表示されます。

コーティングの厚みは、その媒質の主波長の波長数を単位とする相対的な厚みまたはミクロン単位による絶対的な厚みで数値化されます。相対単位を使用する場合、厚みは次式で定義します。

ここで、λ0 はミクロン単位の主波長、n0 は主波長におけるコーティングの屈折率の実部、T はコーティング ファイルに定義されたコーティングの光学的厚みです。is_absolute フラグが 0 の場合、厚みは相対定義で扱われ、0 以外の場合はミクロン単位の絶対値で扱われます。

loop_index パラメータは、層を複製する簡易的な構文です。この項の使用に関する詳細は、ヘルプ ファイルで「テクニカル リファレンス」→「偏光解析」→「Zemax のコーティングの定義」→「コーティング層の複製グループの定義」を参照してください。

is_absolute、loop_index、tapername の値を省略すると、これらの値はゼロであると見なされます。したがって、波長数の単位で材料の層を追加するには、次の構文を使用します。

COAT <user-defined coating name>

material   thickness

material   thickness

...

コーティング ファイルの記述例を以下に示します。

コーティング ファイルの編集

コーティング ファイルにアクセスするには、[ライブラリ] (Libraries) タブ→ [コーティング ツール] (Coating Tools) → [コーティング ファイルを編集] (Edit Coating File) を選択します。

コーティングファイルを編集するので、「はい」をクリックして、新しい名前で保存します。

新しいファイルは Zemax のユーザー データ フォルダにある Coatings フォルダに保存されます。

コーティング ファイルの編集後は、その変更が ZOS で認識されるようにファイルを読み込み直す必要があります。その注意を促す下記のメッセージが表示されます。

続いて、コーティング ファイルがテキスト ウィンドウで開きます。

材質は、MATE 構文で書かれた最初のセクションで定義します。新しい材料の記述例を以下に示します。

コーティングは、COAT 構文を使用して次のセクションで定義します。コーティング材料は、コーティング定義 COAT で使用する前にコーティング ファイルの材料定義 MATE で定義しておく必要があります。

MATE 構文でコーティング ファイルに材料を追加し、コーティングを定義した後、ツールバーの [保存] (Save) ボタンをクリックして変更を保存します。

システム エクスプローラの [ファイル] (Files) セクションに移動して、新しいコーティング ファイルが選択されていることを確認します。[リロード] (Reload) をクリックして、新たに保存した変更を読み込みます。

このコーティングをシーケンシャル面に適用するには、レンズ データ エディタで面のプロパティにある [コーティング] (Coating) のセクションに移動します。ドロップダウン メニューに新しいコーティングが表示されます。

同様に、この材料をノンシーケンシャル オブジェクトに適用するには、NSC エディタでオブジェクトのプロパティにある [コーティング/散乱] (Coat/Scatter) セクションに移動します。オブジェクトのさまざまなフェイスにコーティングを適用できます。

ノンシーケンシャルにおけるその他の注意事項

コーティングの効果を確認するには、光線追跡などの解析設定で [偏光を使用] (Use Polarization) を選択する必要があります。
反射光線と透過光線の両方を追跡する場合は、次のように [NSC 光線の分割] (Split NSC Rays) オプションもチェックする必要があります。

NSC レイアウト プロットにも [NSC 光線の分割] (Split NSC Rays) オプションがあります。反射光線と透過光線の両方を表示するときには、このオプションを選択します。

     

 

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