マルチコンフィグレーション オペランドを使用して単一コンフィグレーションの光学系でパラメータを制御する方法

この記事は、マルチコンフィグレーション エディタを使用して、他のどのエディタでもアクセスできない値について最適化、公差解析、ピックアップを実行する方法を解説します。
 

著者 Akash Arora

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序論

OpticStudio はマルチコンフィグレーション (MC) 機能をサポートし、複数の異なる状態またはコンフィグレーションで光学系をモデル化できるようにしています。この機能を使用すると、ズーム レンズ、走査ミラー、複数の温度を扱う熱システムなどの光学系をモデル化できます。マルチコンフィグレーション エディタ (MCE) で、コンフィグレーションごとに異なる値を設定した光学系パラメータを定義します。たとえば、ズーム レンズ光学系では、レンズ間の間隔をコンフィグレーションごとに変更します。熱システムでは、光学系またはエレメントの温度、あるいはその両方の温度が変化します。これらの例については、この記事の最終ページにある関連記事一覧を参照してください。

複数のコンフィグレーションを設定していない光学系でも MCE を使用できます。MCE を使用すると、最適化の際に変数として指定するパラメータ、変動解析の公差として定義するパラメータ、ソルブによって他の値に関連付けられて変化するパラメータの範囲が大幅に拡大します。この記事では、これら 3 つの使用方法のそれぞれについて例を示して解説します。

変数としてのマルチコンフィグレーション オペランド

最適化とは、ひと組の変数パラメータの値を体系的に変更して、目標とする性能を実現するプロセスです。レンズ データ エディタ (LDE)、追加データ エディタ (EDE)、ノンシーケンシャル コンポーネント エディタ (NSCE) で定義した値は、すべて変数とすることができます。一方で、光学系や面のパラメータの中には、これらのエディタでは直接定義できず、ダイアログ ボックスでのみ定義できるものが数多く存在します。そのようなパラメータは変数として割り当てることができません。たとえば、光学系のアポダイゼーション ファクタ、システム波長、面のアパチャー サイズなどが該当します。

ところが、前述のエディタのほか、MCE で定義可能な値であれば、すべて変数として設定できます。したがって、モデル化する光学系がマルチコンフィグレーションではなくても、MCE を使用すれば、他のエディタで設定できない変数を定義できます。Zemax マニュアルのマルチコンフィグレーションの章に、すべての MC オペランドが一覧で掲載されています。MC オペランドの中には、既にいずれかのエディタで記述されている値 (NSC オブジェクトの位置を指定する NPOS など) を制御するものや、変数として設定することが不適切な値 (アフォーカル像空間モードを指定する AFOC など) を制御するものもありますが、多くは、最適化が必要でありながら他の方法ではそれが不可能なパラメータを制御します。以下に例を挙げます。

この記事の添付ファイル Conic Interconnect を開きます。この光学系は、NA が 0.15 のガウシアン入力ビームで最大の結合効率が得られるように最適化されています。現在のアポダイゼーション ファクタは 1 です。つまり、入射瞳のエッジで入力ビームの強度が 1/e2 になります。

Layout - Conic Interconnect

ここで、結合効率が最大になる理想的なガウシアン光源ファイバ モードを判断するものとします。これを実現するには、最大の結合効率が得られるようにアポダイゼーション ファクタを最適化します。MC オペランドの APDF を使用すると、アポダイゼーション ファクタの値をパラメータで制御できます。MCE を開き、左端のセルをダブルクリックし、ドロップダウン リストから [APDF] (APDF) を選択します。通常のエディタで設定する場合と同様に、このパラメータを変数として割り当てます。

MCE - Apodization Factor

サイクル数を自動としてローカル最適化 (DLS) を実行します。OpticStudio から、アポダイゼーション ファクタとして 1.75 に近い値が提示されます。繰り返しになりますが、この変数は他のどのような方法でも最適化できません。光源を無視するように設定していると、ファイバ結合の計算ではアポダイゼーション ファクタのみが考慮されます。
Merit function editor

ユニバーサル プロットで、他の方法では取得できない値を変数として定義する場合も、同じ方法を使用できます。この例では、アポダイゼーション ファクタに対する FICL オペランド (ファイバ結合効率のオペランド) の値をプロットしてみます。1D ユニバーサル プロットを開き ([解析] (Analysis) → [ユニバーサル プロット] (Universal Plot) → [ユニバーサル プロット 1D] (Universal Plot 1D))、次のように設定します。

Universal Plot Settings

Universal Plot

想定どおり、1.75 近辺のアポダイゼーション ファクタで結合効率がピークとなり、その両側では低下していることが明確にわかります。アポダイゼーション ファクタが 0 の場合は、照度が均一になります。ファイバ結合の計算はガウシアン受光ファイバ モードを前提としていることから、均一光源ファイバ モードでは結合効率が著しく低下することが明らかです。

Multi-Configuration operands as tolerances  公差としてのマルチコンフィグレーション オペランド

マルチコンフィグレーション (MC) オペランドは、対応する公差オペランドが存在しない値を公差解析する目的でも使用できます。
TMCO 公差オペランドを使用すると、MCE で定義できる値であればすべて公差解析に使用できます。以下に例を挙げます。 公差解析については、ナレッジベースの記事「シーケンシャル公差解析を実行する方法」を参照してください。

この記事の最後のページにあるファイル Beam expander を開きます。この光学系は、平行ビームとした 632.8 nm の出力が得られるように最適化した、倍率 3 倍のビーム エクスパンダです。出力波長の変動要因となる可能性のある不安定性がレーザー共振器に存在するものとします。入力波長の変動に対して、このビーム エクスパンダが持っている感度がどの程度であるかを考えます。

Layout - Beam Expander

MCE を使用しない限り、システム波長を公差解析する方法はありません。公差オペランドとして TWAV がありますが、このオペランドを使用できるのは、フリンジ公差を物理寸法に変換する場合のみです。MC オペランドの WAVE を使用すれば、波長によって性能がどのように変化するかを判断できます。MCE で WAVE オペランドを 1 つ定義します。

MCE - Wavelength

次に、公差データ エディタ (TDE) で TMCO オペランドを 1 つ定義し、以下のように設定します。この例では、波長に対して設計が示す感度のみに注目します。波長の変動範囲は±50 nm とします。

TDE - TMCO Operand

RMS 波面収差を判断基準として、サンプル数を 5 に設定し、コンペンセータを使用せずに感度解析を実行します。
予想どおり、性能が著しく変化します。公称設計の 632.8 nm における波面収差は本質的に 0 です。582.8 nm における波面収差は 0.39 波長、682.8 nm では 0.26 波長です。

タイプ

基準

変化

TMCO 1 1

-0.05

0.38769077

0.38702420

TMCO 1 1

-0.05

0.26392698

0.26326040

 

この方法は、モンテカルロや逆感度解析でも使用できます。

マルチコンフィグレーション オペランドとソルブ

MC オペランドの重要な用途として、ソルブによる値の連動があります。MCE を使用すると、ソルブで連動できる値の範囲が広がります。これも例を引いて説明します。

この記事の最後のページにあるファイル Schmidt-Cassegrain Telescope を開きます。このファイルは、前方に補正板を備え、2 つのミラーで構成する望遠鏡をモデル化しています。シーケンシャル モードでは補正板の後に独立した面を設け、副鏡による遮蔽をシミュレートします。理想的には、遮蔽は副鏡と同じ大きさにする必要があります。この設定は手動でも可能ですが、最適化や公差解析を考えている場合は、ソルブの使用がはるかに有利です。

Layout - SC Telescope

MCE で APMX (最大アパチャー) オペランドを 2 つ定義して、面 3 と面 5 の最大アパチャーを制御します。面 3 には円形遮蔽が設定されているので、最大アパチャーによって遮蔽の大きさが決まります。面 5 には円形アパチャーが設定されているので、最大アパチャーによってアパチャーの大きさが決まります。

MCE - Max Aperture

これら 2 つの値を MCE で定義することにより、その値が連動して変化するピックアップ ソルブを適用できます。以下のように第 2 のオペランドにソルブを設定します。

MCE Solve Dialog

このソルブによって、これら 2 つの値が連動して変化するようになり、光学系の変更や最適化があっても必ず同じ値になります。

 

KA-01670

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