ISO エレメント図面の使用方法

ISO エレメント図面は、光学エレメントの生産向け仕様を指定する方法として最適です。この記事では、このツールの概要を示すとともに、簡潔なシングレットで使用する方法について説明します。

著者 Sean Lin

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Introduction

光学設計部門では、生産用エレメントの仕様を指定するために、エレメントの曲率半径、厚み、材質のほか、関連するすべての公差など、いくつかの情報を製造部門に提供する必要があります。この目的のために、ISO エレメント図面を使用して、単一面、シングレット、ダブレットを対象とした ISO 10110 に準拠した図面を作成できます。この標準は光学製造業で広く使用されているので、この方法による出力は、光学系製造現場での使用にきわめて適しています。

 

ISO エレメント図面の概要

この記事では、簡潔なシングレット向けの ISO エレメント図面ツールについて説明します。このツールの出力は、エレメントの断面図およびそのエレメントの物理特性や公差に関連する情報です。ここで使用するファイルは「記事の添付資料」に用意されています。このファイルは、焦点距離が 75 mm のシングレットで、その公差はすでに定義されています。

 

 

[ISO エレメント図面] (ISO Element Drawing) は、[公差] (Tolerance) タブの [製造図面と製造データ] (Manufacturing Drawings and Data) セクションにあります。

 

 

最初の手順として、ツール設定を展開し、描画するエレメントの開始面を [全般] (General) タブで選択します。次に、コンポーネントとして面、シングレット、またはダブレットのいずれかを選択します。この例では、コンポーネントは第 2 面で、シングレット レンズが選択されています。

 

 

[全般] (General) タブを除き、エレメントの各面 (この場合は左面および右面) には、それぞれ 2 つのタブがあり、そこで ISO 10110 図面コード 3-4 および 5-6 に対応するデータを入力できます。[コード 3-4] (Codes 3-4) では、曲率半径、コーニック係数、有効径、直径、平らな縁取りの直径、コーティング、面形成公差、および芯出し公差の各誤差を指定します。[コード 5-6] (Codes 5-6) では、欠陥、レーザー損傷、面の肌、面取りなど、面に関するその他の仕様を指定します。

デフォルトでは、レンズ データ エディタに記述したデータは自動的に ISO エレメント図面にコピーされるので、エレメント特性によっては、このツールを実行するときに事前に入力されるものがあります。

[自動] (Automatic) ボタンのチェックをはずすことにより、必要に応じて、[コード 3-4] (Codes 3-4) タブの情報を上書きできます。

 

 

その他の面や材質の特性は、適宜入力できるようになっています。

ISO エレメント図面では、レンズ データ エディタ (LDE) とは異なる名前付け規則を直径に使用していることに注意してください。OpticStudio Premium および Professional では、直径値は次のように扱われます。

  • 有効径 = LDE でのクリア半径または半径値 x 2
  • 直径 = LDE でのクリア半径または半径 x 2 + チップ ゾーン値
  • 平らな縁取りの直径 = LDE での機械的半径値 x 2
     

 

シングレットまたはダブレットで ISO エレメント図面を使用する場合は、エレメントごとに [材質] (Material) タブが表示されます。このタブには、材質の特性として、ガラスの名前、屈折率、アッベ数、厚み、応力複屈折、泡、不均質性などの材質に関する仕様が表示されています。

 

 

ISO エレメント図面で使用する ISO 10110 記号と図面コードの詳細については、ヘルプ ファイルの「[公差] (Tolerance) タブ」→「[製造図面と製造データ] (Manufacturing Drawings and Data) グループ」→「[ISO エレメント図面] (ISO Element Drawing) ([製造図面と製造データ] (Manufacturing Drawings and Data) グループ)」を参照してください。

シングレット エレメントの場合は、ISO 10110 データの共有を容易にするために XML 出力が生成されます。この XML 出力は、[ISO エレメント図面] (ISO Element Drawing) ウィンドウの下部にある [XML] (XML) タブで確認できます。

 

 

XML 出力では、[ISO エレメント図面] (ISO Element Drawing) 設定ダイアログや、レンズ ファイルのその他のデータ入力フィールドに入力した値に基づいて、エレメントや属性の各フィールドに値が反映されます。XML 出力データは、[全般] (General) タブの [名前を付けて保存] (Save As) ボタンを使用してファイルに保存できます。

 

 

 

ISO エレメント図面の公差解析データ

[ISO エレメント図面] (ISO Element Drawing) 設定で、該当の [マイナス公差] (- tol) 列と [プラス公差] (+ tol) 列や面形成公差誤差などの関連する誤差エントリに手動で入力することにより、公差解析データを直接指定できます。ただし、公差解析を完了している場合は、[公差解析データ エディタ] (Tolerance Data Editor) (TDE) で公差がすでに指定されています。その場合、[全般] (General) タブの [TDE からリセット] (Reset from TDE) をクリックすることにより、TDE から公差を容易にインポートできます。

 

 

[TDE からリセット] (Reset from TDE) をクリックすると、面半径、面形成、ティルトとディセンタ、材質の厚み、屈折率に対する各公差が TDE から取り込まれます。考慮されるオペランドは TRAD、TCUR、TFRN、TCON、TTHI、TIND、TABB、TSTX、TSTY、TSDX、TSDY、TIRR、TEZI、TWAV のみであることに注意してください。公差を指定していない場合、[ISO エレメント図面] (ISO Element Drawing) の各公差はゼロに設定され、図面には表示されません。

以下では、用意されているサンプル ファイルで使用されているすべての公差解析オペランドと、ISO エレメント図面の出力に変換された各公差が表示される場所について説明しています。

  1. TTHI は厚みの公差なので、面の相対位置に関連付けられています。この例では、この公差はシングレットの厚みに対するものなので、[ISO エレメント図面] (ISO Element Drawing) の [材質] (Material) タブに表示されます。この出力では、厚みを指定している断面図そのものに、この公差が表示されます。

     

     

  2. TRAD は曲率半径に公差を直接設定するために使用します。設定された値は、[ISO エレメント図面] (ISO Element Drawing) の [コード 3-4] (Code 3-4) タブに表示されます。出力では、関連する面のプロパティの先頭行にこの公差が記述されます。この行には、曲率半径の値が指定されています。

     

     

  3. TIRR は面のイレギュラリティに公差を設定するために使用します。設定された値は、[ISO エレメント図面] (ISO Element Drawing) の [コード 3-4] (Code 3-4) タブに表示されます。出力では、面のプロパティで面形成公差を表す「3/」エントリの近くに、この公差が表示されます。TIRR オペランドは所定のテスト波長 (TWAV オペランドで指定) で指定することから、そのテスト波長もイレギュラリティ値の近傍に記述されます。

     

     

  4. TSDX と TSDY は、X 方向と Y 方向の面のディセンタに公差を設定するために使用します。TSTX と TSTY は、X 軸と Y 軸を中心とした面のティルトに公差を設定するために使用されます。これらのオペランドは、[ISO エレメント図面] (ISO Element Drawing) の [コード 3-4] (Code 3-4) タブにも表示されます。出力では、面のプロパティで面形成公差を表す「4/」エントリの近くに、この公差が表示されます。TSTX と TSTY は度数で指定しますが、ISO エレメント図面の出力では、どちらの公差も弧が張る角度の分数で表されます。

     

     

  5. TIND は屈折率の公差で、[ISO エレメント図面] (ISO Element Drawing) の [材質] (Material) タブに表示されます。出力では、材質プロパティで屈折率の値を記述した 2 行目に、この公差が表示されます。

     

     

最後に、公差解析オペランド TEDX、TEDY、TETX および TETY (エレメントのディセンタとティルトを表すオペランド) は ISO エレメント図に表示されない点に注意してください。これらは組み立て公差であることから、エレメントのみの図では指定できません。

上記の公差解析オペランドの詳細については、ヘルプ ファイルの「[公差] (Tolerance) タブ」→「[公差解析] (Tolerancing) グループ」→「[公差解析データ エディタ] (Tolerance Data Editor)」→「公差解析オペランド」を参照してください。

References

  1. “ISO 10110 Optics and Optical Instruments - Preparation of drawings for optical elements and systems: A User's Guide”, by Ronald K. Kimmel and Robert    E. Parks, eds.
  2.   OpticStudio help files

KA-01821

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