OpticStudioでは光学系の熱的変化をモデル化できます。この記事では、OpticStudioでレンズマウントに対して使用するデフォルトの機械的基準を示し、その基準をシーケンシャルモードで変更する方法を紹介します。
著者 : Nam-Hyong Kim
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はじめに
シーケンシャルモードでは、熱解析の設定ツールを使用して、温度が異なる複数の環境で光学系をモデル化できます。このツールをダミー面と組み合わせて使用すると、熱的変化を経て光学系がどのように変化するかを知ることができます。この記事では、レンズマウントを表現するダミー面の設定方法と、熱解析の設定ツールで光学系の複数のコンフィグレーションを確認する方法を簡単に取り上げます。
レンズマウントのデフォルトの機械的基準
デフォルトでは、レンズマウントがレンズと次の図のように接触していると想定しています。前側レンズの後面と後側レンズの前面が物理的にマウント (緑色のシェーデットモデルにて表示) に接触しています。
以下のアニメーションは、温度によって光学系とマウントが膨張収縮する様子を示しています。
レンズマウントの機械的基準の変更
マウントとレンズとの機械的基準 (接触点) として、上記とは別の位置が必要なことがあります。たとえば、上記のレイアウトで右側のレンズの右面でマウントが接触するようにする場合です。これは追加のダミー面を使用して実現できます。
熱的変化を示す例
右側レンズの後面でマウントが接触するように光学系を変更します。添付のサンプルファイル rear_mount_sample_1.zar を開きます。レンズデータエディタを次のように変更します。
この光学系は、中央部の公称空隙 100 mm をモデル化しています。スペーサ (面 2) がレンズの後面まで達して、その厚みが 100 ではなく、140 になっていることがわかります。面 3 上でのダミー伝搬距離は、あらゆる温度で面 4 の厚みと等しいことが必要です。したがって、面 3 の TCE を N-BK7 ガラスの TCE と同じ値にする必要があります。ガラスの TCE はガラスカタログで規定されていて、N-BK7 の場合は 7.1 です。LDE で面 3 の [TCE] (TCE) 列にこの値を入力します。
熱解析の設定ツールを使用して、さまざまな温度で複数のコンフィグレーションを作成します。いずれかのコンフィグレーションの温度が公称温度から有意にかけ離れていると、3D レイアウトは次のようになります。
KA-01459
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