正規化半径とは

この記事では、次のよくある質問に回答します。回折面で使用する正規化半径とは何ですか。

著者 : Mark Nicholson

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はじめに

通常、正規化半径 (R) は、面の半径に等しく設定し、面と光線が交差する位置の X 座標と Y 座標のスケーリングに使用します。これにより、面のサグを記述する多項式項が無次元になります。正規化半径は、回折面の位相係数に直接関係しています。正規化半径に位相係数が伴っていれば、正規化半径の値は重要ではありません。つまり、両者の関係が維持されていて、光学系の他の部分に変更がなければ、R がどのような値でも回折面での位相プロファイルは同じになります。

この記事では、バイナリ 2 面を使用して正規化半径を定義します。

正規化半径

ゼルニケ面やバイナリ オプティクス面をはじめとする大半の回折面では、正規化距離パラメータρを使用した数式によって、回折で追加される位相を表現します。たとえば、バイナリ 2 面では、次の数式で計算できる位相が追加されます。

 

equation_1

 

N は級数にある多項式係数の数、Mは回折次数です。Ai はρの 2i 乘項の係数で、ρは正規化半径アパチャー座標です。

面の半径方向高さ r に達した光線の正規化半径アパチャー座標ρは r/R で与えられます。R は正規化半径です。ここでは、レンズ ユニットによる座標ではなく、正規化座標を使用します。これにより、熱解析と最適化で回折光学系の断熱化がきわめて容易になるからです。回折面の熱解析と最適化では、一般的に最適化半径のみが熱ピックアップ ソルブを必要とします。熱膨張は長さのスケーリングと考えることができるからです。同じ理由から正規化半径を使用する非球面が多数あります。

通常、R は面の半径に等しい値または面の実効アパチャーよりもわずかに大きい値に設定します。ただし、正規化半径に Ai 係数が伴っていれば、正規化半径の正確な値は重要ではありません。添付資料に、サンプルのレンズ ファイル Normalization Radius Example.ZMX が用意されています (以下にその光学系を示します)。

 

achromatic_singlet

 

この例は典型的な「アクロマート シングレット」です。このレンズでは、回折力によってシングレット レンズの色収差を均衡状態にしています。正規化半径を 30 mm と 50 mm にした 2 つのコンフィグレーションを使用します。

 

Multi-configuration_editor

 

つづいて、RMS スポット半径が最良になるように、それぞれのコンフィグレーションを最適化します。最適化で算出される係数はコンフィグレーションごとに異なる値になりますが、正規化半径でスケーリングすると、どちらのコンフィグレーションでも正確に同じ位相プロファイルが得られます。

 

Phase_profile

 

Binary_2_Phase

 

 

まとめると、正規化半径と位相係数を共に保持していれば、正規化半径 R として使用する正確な値は重要ではありません。

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