OpticStudioのグラフィクス ウィンドウに黒い画面または空白画面が表示される場合の対処方法

OpticStudio の画面レンダリング機能とコンピュータのグラフィクス設定の間に互換性が確保されていない場合があります。そのため、解析ウィンドウに黒または白の空白画面が表示されることがあります。通常、このような状況が発生するのは、OpticStudio を実行するコンピュータに最新のグラフィクス カードが搭載されていない場合、またはカードが適切に設定されていない場合です。この記事では、こうした問題に対する修正または回避策を紹介します。

著者 Erin Elliott

Introduction

OpticStudio は、すべての画面レンダリングに DirectX 11 と GPU を使用して、グラフィクス表示を加速 しています。(グラフィックス カードを OpticStudio のプライマリとして設定する際のアドバイスについては、「高度なグラフィックス カードを使用するために OpticStudio を設定する」を参照してください)

OpticStudio のグラフィクス ウィンドウに、黒、空白、白の背景だけでデータのない画面が表示される場合があります。Zemax では、DirectX 11 非対応のカードまたはドライバが古いカードに対しては正常動作を保証していませんが、この記事では、そうした状況に対するいくつかの回避策を紹介します。

手順 1:グラフィクス カードを特定し、グラフィクス ドライバの競合が発生していないことを確認する

解析ウィンドウに下図のような空白画面が表示された場合、最初に実行すべき手順は、どのようなグラフィクス カードを使用しているかを調べることです。

 

     

 

ここでは、システムのグラフィクス アダプタ (複数の可能性あり) を特定し、ディスプレイ ドライバに何らかの競合が発生していないかを確認する方法を示します。多くのアプリケーションが、特定の機能を実行するために、サードパーティー製の仮想グラフィクス ドライバを Windows にインストールします。これらは「ミラー ドライバ」と呼ばれる場合もあります。残念ながら、それらの中に OpticsViewer のグラフィクス出力を検出して、上記のような問題を発生させるものがあるのです。

1. スタート メニューのアイコンを右クリックして [デバイス マネージャー] (Device Manager) を選択します。

 

device manager

 

2. デバイス マネージャーが起動したら、[ディスプレイ アダプター] (Display adapters) の横の矢印をクリックします。使用可能なグラフィクス カードのリストが表示されます。

 

display adapters

 

3. カードが適切に取り付けられていることを確認して、次の手順に進みます。

  • 上の図のマシン例は、Intel の内蔵グラフィクス カードと、NVIDIA のグラフィクス カードの両方を搭載し、ミラー ドライバはありません。Intel、AMD、NVIDIA のカードだけが表示され、他のカードは表示されない場合は、手順 2 に進んで DirectX の互換性を確認します。
  • [標準 VGA グラフィック アダプタ] (Standard VGA Graphics Adapter) または [Microsoft 基本ディスプレイ ドライバー] (Microsoft Basic Display Driver) しか表示されない場合は、それが問題の原因である可能性が高いでしょう。これらのドライバは通常、OpticsViewer の 3D 出力の要件を適切に満たしていないからです。この記事の手順はこれ以上進めずに、ビデオ カード ドライバを特定してそれをインストール方法について、お使いのコンピュータのメーカーに問い合わせてください。適切なドライバをインストールしても問題が解決しなかった場合に、この記事に戻ってください。
  • ディスプレイ アダプタのカテゴリに Intel、AMD、NVIDIA 以外の何らかのブランドが表示される場合は、競合するミラー ドライバである可能性があります。

ミラー ドライバの例として、次のようなものがあります。リモート制御ソフトウェア (CA IT CLIENT Manager、DameWare、LogMeIn、UltraVNC、TightVNC、Radmin、RemotePC、Windows Live Mesh Display Driver など)、その他のサードパーティー製ソフトウェア (JAWS、Window-Eyes など)、監視ソフトウェア (LanSchool) (下図に例を示します)

これらのサードパーティー製デバイスを無効化するには、下図のように問題のデバイスを右クリックして [デバイスを無効にする] (Disable Device) を選択します。サードパーティー製デバイスを無効にしても、問題が解決しない場合は、この記事の手順 2 に進みます。

重要な注 :ミラー ドライバの中には、貴社の IT 部門が会社所有のマシンをリモート制御するために使用しているものがあります。それらを無効化すると、リモート ソフトウェアが動作を停止します。デバイスの要否に確信が持てない場合は、無効化する前に IT 部門に確認してください。

 

device manager

 

手順 2: カードが DirectX 11 に対応していることを確認する

上記の例で説明すると、「NVIDIA GeForce GTX 1050 Ti specs」を検索すれば、このカードの仕様が掲載された NVIDIA のウェブサイトが見つかります。

 

example

 

example 2 

 

弊社で調べたところ、このカードは DirectX 11 以降に対応していないことが判明しています。

すべてのウェブサイトにカードの DirectX レベルが掲載されているわけではありません。したがって、お使いのカードが DirectX 11 に対応していないと結論づける前に、複数のサイトを確認することを推奨します。

カードが DirectX 11 に対応していない場合は、DirectX 11 のオプションを無効化できます。この記事の「修正方法 2」に記載した手順に従ってください。

 

修正方法 1: 最新のグラフィクス カードを使用するように OpticStudio を設定する

Intel と AMD/NVIDIA など、グラフィクス カードを複数搭載している場合があります。このような構成はノート PC では一般的です。内蔵カード (通常 Intel) から専用カード (NVIDIA または AMD) への変更が可能です。これらの専用カードは通常、3D レンダリングへの対応が強化され、ドライバの性能も優れています。カードを正しく使用するためにWindowsとOpticStudioを設定する方法については、「高度なグラフィックス カードを使用するために OpticStudio を設定する」のナレッジベースの記事を参照してください。また、この記事では、グラフィックス カード ドライバの更新についても説明しており、この問題を解決することができます。

 

修正方法 2: DirectX 11 を無効にする

システムが DirectX 11 に対応しているならば、通常はこれを有効にしておくことを推奨します。問題は、単にシステムのグラフィクス カードが DirectX 11 に対応していないだけである可能性があります。その場合は、DirectX 11 オプションを無効化すれば、グラフィクス ウィンドウの問題は解消できます。

OpticsViewer の [設定] (Setup) タブに移動し、[プロジェクト環境設定] (Project Preferences) を選択します。

 

project preferences

 

[グラフィクス] (Graphics) オプションの [... に DirectX 11 を使用する] (Use DirectX 11 for ...) チェックボックスのチェックを外します。

 

project preferences

 

設定ウィンドウを閉じて OpticsViewer を再起動し、任意のグラフィクス ウィンドウ (3D レイアウトなど) を開いて正常に表示されることを確認します。

依然として、黒い画面が表示される場合は、この後の手順に進みます。

 

修正方法 3: 現代グラフィクスを無効にする

OpticStudio の最新バージョンでは、現代グラフィクスの要件を完全に無効化できます。注 : この設定の副作用は、OpticsViewer の [シェーデッド モデル] (Shaded Model) と [3D シェーデッド モデル] (3D Shaded Model) ボタンが使用できなくなることです。これらは高度なグラフィクス サポートを必要とするからです。この方法は、グラフィクスのハードウェアまたはドライバが要件を満たせない場合の最終的な対策、またはグラフィクス カードをトラブルシューティングする際の一時的手段として使用できます。問題を解決できる方法がこれしかない場合は、この記事の「サポートを依頼する」セクションに進み、Zemax のサポートまでお問い合わせください。

[設定] (Setup) タブの [プロジェクト環境設定] (Project Preferences) をクリックします。[グラフィクス] (Graphics) を選択し、右中央の [現代グラフィクスを無効] (Disable Modern Graphics) という行を見つけます。ドロップダウンから [全てのプロット] (All Plots) を選択します。プロジェクト環境設定を保存します。[現代グラフィクスを無効] (Disable Modern Graphics) オプションが表示されない場合は、修正方法 4 に進みます。

 

disable modern graphics

 

設定ウィンドウを閉じて OpticsViewer を再起動し、任意のグラフィクス ウィンドウ (3D レイアウトなど) を開いて正常に表示されることを確認します。

 

修正方法 4: クラシック表示を有効にする

クラシック表示によるプロットを有効化することでも、この問題を回避できます。この方法は、グラフィクスのハードウェアまたはドライバが要件を満たせない場合の最終的な対策として使用できます。また、グラフィクス カードのトラブルシューティング時の一時的な修正方法としても使用できます。問題を解決できる方法がこれしかない場合は、この記事の「サポートを依頼する 」セクションに進み、Zemax のサポートまでお問い合わせください。

[設定] (Setup) タブの [プロジェクト環境設定] (Project Preferences) をクリックします。[グラフィクス] (Graphics) を選択し、左下の [クラシック表示を有効] (Enable Classic View) という行を見つけます。ボックスをチェックします。プロジェクト環境設定を保存します。

 

enable classic view

 

設定ウィンドウを閉じて OpticsViewer を再起動し、任意のグラフィクス ウィンドウ (3D レイアウトなど) を開きます。

[グラフ] (Graph) タブには依然として黒いウィンドウが表示されますが…

 

black screen

 

[クラシック] (Classic) タブには正常なプロットが表示されます。

 

classic view works!

 

サポートを依頼する 

上記の修正方法のすべてを慎重に実行したにもかかわらず、グラフィクス ウィンドウが黒いままの場合、またはこの問題についてさらなる疑問がある場合は、ライセンス管理者にサポート チーム (support@zemax.com) への問い合わせを依頼してください。

電子メールには、次の情報を添付してください。

1.  [プロジェクト環境設定] (Project Preferences) → [グラフィクス] (Graphics) 設定のスクリーンショット

2.  3D レイアウト プロットの [グラフ] (Graph) タブのスクリーンショット

3.  3D レイアウト プロットの [クラシック] (Classic) タブのスクリーンショット

4. この記事の手順 1 に従って取得した、デバイス マネージャーの [ディスプレイ アダプター] (Display Adapters) のスクリーンショット 

5. [ヘルプ] (Help) → [OpticsViewer について] (About) で表示されるライセンス キー番号

 

system diagnostic

 

KA-01593

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