OpticStudio で新しい材料とガラスを追加する方法

OpticStudio のデフォルトの材料カタログは豊富ですが、必要な材料がカタログにない場合があります。この記事では、材料カタログを作成して独自の材料データとガラス データを登録する方法を紹介します。

著者 Mark Nicholson, Kristen Norton

Introduction

OpticStudio の材料データはカタログで管理します。カタログは、拡張子を .agf とした ASCII テキスト ファイルです。これらのカタログには、そこに登録した材料ごとに屈折率、熱変動、透過率などのデータが記録されています。OpticStudio には多くの材料カタログが付属しています (schott.agf、ohara.agf、infrared.agf など)。

Zemax 13 以前のリリースでは、材料カタログではなくガラス カタログと呼ばれていました。この名称変更は、これらのカタログに多様な材料を登録できることを反映したものです。


重要 : OpticStudio に付属する材料カタログは編集も変更もできません。次回のリリースで OpticStudio を更新すると、材料カタログも含め、インストール環境にあるすべてのファイルがそのリリースに付属するバージョンの該当ファイルで上書きされます。このことから、独自の材料を追加するには、まず独自のカタログを作成する必要があります。その後で、所要の材料をカタログに追加します。このようにして作成したカタログは OpticStudio の更新による影響を受けません。

重要 : 一度でも使用した材料はカタログから削除しないでください。カタログから材料を削除すると、その材料を使用したファイルを追跡できなくなります。正しい方法は、ガラスを「旧式」としてマークし、コメント フィールドを使用して、そのガラスを使用しない理由を記述します。この方法については、この記事の後半で説明します。旧式としたガラスをファイルで使用していると、システム チェック ユーティリティによって検出され、警告が表示されますが、そのファイルでは引き続き光線追跡を実行できます。

詳細については、この記事と合わせて、ヘルプ ファイルの「ガラス カタログの使用」を参照してください。

独自のカタログの追加

材料カタログはすべてユーザー データ フォルダである GLASSCAT に保存されます。このフォルダは、[設定] (Setup) タブ→ [プロジェクト環境設定] (Project Preferences) → [フォルダの設定] (Folders) で定義します。

GLASSCAT user data folder

英語版の Windows では、デフォルトで次のファイル パスが使用されます。

{My Documents}\Zemax\GLASSCAT

カタログ ファイルは、拡張子を .agf としたテキスト ファイル (ASCII ガラス ファイル) です。どの .agf にも、それに対応する .bgf (バイナリ ガラス ファイル) が存在することがあります。.bgf ファイルは .agf ファイルを使用するときに OpticStudio によって作成されますが、どのような方法であっても、ユーザー側では編集も使用もしないようにします。.bgf ファイルは無視してかまいません。重要なカタログは .agf ファイルのみです。

新しい材料カタログ (ここでは MyCatalog.agf とします) を作成する方法には以下の 2 種類があります。

1. Windows エクスプローラを使用して、GLASSCAT ユーザー データ フォルダに移動します。既存の agf ファイルのいずれかをコピーして貼り付け、その名前を MyCatalog.agf に変更します。これにより、コピー元のカタログと同じ材料を登録した新しいカタログが作成されます。OpticStudio の UI で、これらの材料を削除、編集、維持できます。

2. OpticStudio で、[ライブラリ] (Libraries) タブ → [材料カタログ] (Materials Catalog) を選択します。既存のカタログのいずれかを選択し、[カタログを別名で保存] (Save Catalog As) ボタンをクリックして新しい名前でカタログを保存します。これにより、カタログとそこに登録されているすべての材料が保存され、それらの材料を削除、編集、維持できます。

以降のページでは、上記の 1 の方法を使用して MyCatalog.agf を作成します。サンプルの中で、OpticStudio のデフォルト カタログの 1 つである「ANGSTROMLINK.AGF」カタログをコピーして貼り付けます。

独自のカタログへの材料の追加

OpticStudio を実行して、[ライブラリ] (Libraries) タブ → [材料カタログ] (Materials Catalog) を選択します。

Catalog drop-down menu

[カタログ] (Catalog) ドロップダウン メニューから [MYCATALOG.AGF] を選択します。[ガラス] (Glass) セクションに一覧表示されている材料はすべて、ANGSTROMLINK.AGF に登録されているものと同じです。このカタログをコピーして新しいカタログを作成したからです。このウィンドウに表示されるデータは、選択した材料に応じて更新されます。このデータは、以下のような実用的なカテゴリに分類できます。

1. 屈折率データ。分散データは、ショット、セルマイヤ、コンラディなどの分散式を使用して入力します。数値の屈折率データがある場合、OpticStudio では、それらのデータを自動的にさまざまな分散式にフィッティングできます。[屈折率データのフィッティング] (Fit Index Data) ボタンをクリックして屈折率と波長のデータを入力するだけでフィッティングが実行されます。また、ガラス分散データのフィッティング ツールを使用することもできます。詳細については、記事「屈折率データのフィッティング」を参照してください。フィッティング ツールを使用しない場合は、そのガラスで使用できる最小波長と最大波長を手動で入力する必要があります。

2. 熱変動データ。OpticStudio では、基準温度と異なる温度の屈折率を計算できます。熱モデルでは、データ値 D0、D1、D2、E0、E1、Ltk、TCE が使用されます。
ガラス分散データのフィッティング ツールでは、複数の温度でのデータをとり、屈折率データへのフィッティングだけでなく、熱データへのフィッティングも生成します。詳細については、記事「How Zemax Calculates Refractive Index At Arbitrary Temperatures and Pressures」およびヘルプ ファイルの「光学系の熱解析」を参照してください。

3. 透過データ。[透過] (Transmission) ボタンをクリックして、材料の内部透過率を入力します。このデータは、面の反射を無視し、バルク材料の吸収を表したものです(面の反射は、ガラスの屈折率、入射光線の角度と波長、光線の偏光状態のみに依存し、バルク吸収の損失による影響は受けません)。

4.その他のデータ。OpticStudio では、相対コスト、耐汚性、耐候性などの非光学データを指定できます。また、材料そのものに対するコメントも入力できます。
入手が容易な材料の場合、[ステータス] (Status) は [標準] (Standard) または [推奨] (Preferred) とすることが普通です。使用する機会が少ない材料を示すには [特殊] (Special) を使用し、使用できなくなった材料を表すには [旧式] (Obsolete) を使用する必要があります (入力した材料は削除できません。そのデータを採用した設計が使用できなくなるからです)。[溶解] (Melt) というステータス フラグは、OpticStudio の溶解データのフィッティング ツールでのみ使用されますが、必要に応じて手動で使用することもできます。カタログにデータを追加するには、まず [材料カタログ] (Materials Catalog) ウィンドウで [ガラスの挿入] (Insert Glass) オプションを選択する必要があります。続いて、材料に関連するデータを入力し、目的の名前に変更できます。

[ガラスの切り取り] (Cut Glass) ボタンを使用して、カタログから材料を削除することもできます。

データを入力し、ANGSTROMLINK.AGF カタログから材料を削除すると、MYCATALOG.AGF の [材料カタログ] (Materials Catalog) ウィンドウは次のような表示になります。

Materials Catalog window with MYCATALOG.AGF

カタログには複数の材料を登録でき、カタログ名の下の [ガラス] (Glass) コントロールで強調表示した材料のデータがウィンドウに表示されます。カタログそのものを説明するコメント、日付、バージョン番号などを入力しておくことをお勧めします。

材料カタログデータのテスト

データを入力した後は、使用に先立ってテストを実施します。OpticStudio には、このテスト用として以下の各ツールが用意されています。

1.[材料カタログ] (Materials Catalog) ダイアログで [ガラス レポート] (Glass Report) ボタンまたは [カタログ レポート] (Catalog Report) ボタン (あるいはその両方) をクリックして、入力したデータをすべて表示します。

2.該当のカタログを既存の設計に追加します。システム エクスプローラで [材料カタログ] (Materials Catalogs) に進み、新しいカタログを [利用できるカタログ] (Catalogs Available) から [使用するカタログ] (Catalogs To Use) に移動します。

Material_catalogs.png

次に、[ライブラリ] (Libraries) タブ → [材料の解析] (Materials Analyses) → [分散ダイアグラム] (Dispersion Diagram) を選択して、屈折率データ値と波長データ値との対応を確認します。

index versus wavelength values

[ライブラリ] (Libraries) タブ → [材料の解析] (Materials Analyses) → [波長に対する内部透過] (Internal Transmission vs. Wavelength) を選択して、透過率と波長の対応を確認することもできます。

材料カタログデータの使用

新しく追加した材料を使用するには、レンズ データ エディタまたはノンシーケンシャル コンポーネント エディタで、[材料] (Material) 列のセルに目的の材料名を入力します。正しい材料名を入力した後、Enter キーまたは Tab キーを押すと、行の色が変化し、その面の材料が空気ではなくなったことがわかります。

lens data editor

 

KA-01673

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