現実的なエッジ開口を持つ光学系のモデリング

オプトメカ半径 (Opto-mechanical semi-diameters (OMSD’s)) は、レンズのクリア半径よりも外側のオプトメカ部分を作成する上で、より優れた柔軟性を OpticStudio ユーザーに提供します。この機能はオプトメカ半径に対して、現実的なレンズ開口をモデリングするための包括的な手段を提供するもので、複雑なレンズ系に対して特に有用です。

著者 Thomas Pickering

Introduction

現実的な光学系を包括的にモデリングするために、ユーザーは OpticStudio のオプトメカ半径 (opto-mechanical semi-diameter (OMSD)) プロパティを使用できます。面には、レンズのクリア半径の外側に通常見られる特徴を作成する 2 つの面パラメータがあります。チップ ゾーンと機械的半径です。これら 2 つのパラメータを通して、シーケンシャル モードとノンシーケンシャル モード、同様に複数のエディタにおいて、オプトメカ半径を使用できます。

 

レンズデータ エディタ

レンズ データ エディタ (LDE) には、2 つのパラメータ列があります。[チップ ゾーン] (Chip Zone) と [機械的半径] (Mech Semi-Dia) です。チップ ゾーンは追跡不可能な半径を拡張して、その面の現在のサグ曲線を継続します。機械的半径は、面に追跡不可能な特徴的な構造を追加し、平坦な面で半径を拡張します。これらのパラメータは、すべての回転対称な面タイプ、[イレギュラ] (Irregular) 面、ゼルニケ面をサポートしています。2 つのパラメータの効果を以下の図に示します。

 

 

クリア半径で定義された面の部分、つまり面の "有効開口" は、面の研磨、コーティング、テストが行われた領域です。チップ ゾーンは、テスト可能な領域のすぐ外側の領域です。テスト可能な領域と同じ曲面ですが、テストが不可能で、一般的には光学仕様を満たしていません。システム エクスプローラで設定される [クリア半径マージン] (Clear Semi-Diameter Margins) は有効ですが、[面プロパティ] (Surface Properties) ... [アパチャー] (Aperture) で個別にオフにすることもできます。

 

 

最初の図では、パラメータの効果を示すために、機械的半径が 16 mm に固定されています。しかしデフォルトでは、機械的半径は [自動] (Automatic) ソルブが設定されています。これにより、値はクリア半径とチップ ゾーンの値を足した数値になります。面がレンズの一部だけとなっている場合は、[次の面まで垂直に] (Squared to Next Surface) オプションを選択することで、機械的半径が拡張されて、垂直のエッジを明示的に設定できます。下の図では、面 2 に "次の面まで垂直" が選択されており、チップ ゾーンを超えてレンズを拡張する 0.424 mm の平面が追加されています。

 

 

面に [円形アパチャー] (Circular Aperture) が設定されると、クリア半径は関係するパラメータではなくなります。チップ ゾーンと機械的半径は円形アパチャーの上に構築されます。

 

 

光線追跡プロパティ

光線は、クリア半径で定義された開口のみで追跡されます。追加されたアパチャーでの光線は停止します。チップ ゾーンまたは機械的半径の領域を通過する光線は追跡されず、無効な光線についての追跡エラーが報告されます。

 

ISO 製造図面

チップ ゾーンと機械的半径は ISO 部品図面に正しくエクスポートされます。面の値のすべてがそのまま設定に読み込まれるわけではないことに注意してください。ただし、この機能は図面を作成するときに正しい値を使用しています。設定の値を確認する場合は、[LDE からリセット] (Reset from LDE) ボタンをクリックします。[自動] (Automotic) チェック ボックスの選択を外すことで、値をマニュアルで変更可能です。  すべての値は変更可能であり、LDE で実際にレンズを編集することなく、異なるレンズ形状に対応した個別の XLF ファイルを作成し、[コスト エスティメータ] (Cost Estimator) から見積もりを取得できます。

 

 

ノンシーケンシャル モードへの変換

[標準] (Standard) 面は、ノンシーケンシャルの [標準レンズ] (Standard Lens) オブジェクトに変換可能です。[クリア 1] (Clear 1) と [クリア 2] (Clear 2) パラメータは、前面と後面のクリア半径とチップ ゾーンの和です。[エッジ 1] (Edge 1) と [エッジ 2] (Edge 2) は、それぞれ機械的半径に相当します。前面と後面の平面部は [フェイス 0] (Face 0) の一部となり、側壁となります。

 

 

[偶数次非球面] (Even Asphere) の変換もサポートされています。 

 

マルチ コンフィグレーション エディタ

チップ ゾーンと機械的半径パラメータには、マルチ コンフィグレーション エディタ (Multi-Configuration Editor (MCE)) の対応するオペランドがあり、それぞれ CHZN と MCSD です。これにより、2 つの異なるオプトメカ半径をレイアウト プロットで視覚化できます。以下の図では、[3D レイアウト] (3D layout) に表示された 2 つのコンフィグレーションを示します。 

 

 

[熱解析の設定] (Make Thermal) ツールを使用する場合 ([設定] (Setup) > [コンフィグレーション] (Configuration) > 熱解析の設定)、CHZN オペランドと MCSD オペランド、 SDIA オペランドが追加されます。つまり、2 つのオペランド (1 MCSD と 1 CHZN) がそれぞれ、空気 / ガラスの境界とガラス / ガラス の境界に設定されます。 

 

メリット ファンクション エディタ

メリット ファンクション エディタ (Merit Function Editor (MFE)) には、機械的半径パラメータに相当するオペランドが 3 つあります。OMSD、OMMI、OMMX です。

 

 

OMSD オペランドは、指定された面の機械的半径パラメータの数値をレポートするだけです。OMMI オペランドと OMMX オペランドは、機械的半径の値が入力された目標値よりも大きくなるか、小さくなるように制限します。これらを使用すると、"Surf 1" と "Surf 2" で指定された範囲の複数の面を同時に制御できます。多くの他のオペランド、例えばすべてのエッジ厚さのオペランド (ETVA、MXEG、MNEG…) のように、モード フラグを持っています。オペランドの値を計算するとき、チップ ゾーンや機械的半径を考慮したり無視したりを、ユーザーが選択できます。 

 

プログラミング

ZPL

キーワード "SETSURFACEPROPERTY" には前述の面のパラメータが Code 27 (CHZN) および Code 28 (MCSD) として組み込まれています。数値関数 CHZN (n) と MCSD (n) はそれぞれ、面 n のパラメータ値を出力します。最適化オペランド機能の OCOD と OPEV は、CHZN と MCSD と互換性があります。

ZOS-API

面のパラメータのパラメータ プロパティは、ILDERow インタフェースにあります。そのため、パラメータの数値やセル自体に直接アクセスできます。ILDEApertureData インタフェースには、Boolean DisableSemiDiameterMarginsForThisSurface が含まれるため、グローバルな "半径マージン" のオン / オフが可能です。

 

公差解析

イレギュラ面と [ゼルニケ標準サグ] (Zernike Standard Sag) 面はオプトメカ半径をサポートしています。したがって、面のイレギュラリティの公差解析 (TIRR と TEZI)、ディセンタとティルト (例えば TIRY)、OMSD 値が使用できます。TIRX と TIRY の値は、それぞれクリア アパチャーに適用されます。同様に、TEZI の正規化はクリア アパチャーで行われます。

 

パラメータの可用性

これらのパラメータは、OpticStudio の Professional もしくは Premium エディションのみで使用できます。Standard エディションで開いた場合、LDE のチップ ゾーンと機械的半径パラメータ列はグレーアウトします。

 

 

新しい MF オペランドを使用しているレンズ ファイルを開くと、エラー メッセージが表示され、MFE からそれらのオペランドが削除されます。

 

 

KA-01692

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