この記事では、プレゼンテーションとレポートに耐える高品質なグラフィックの作成、注釈の追加、エクスポート、アニメーション化の方法を取り上げます。
著者: Dan Hill
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はじめに
明確なグラフィックと視覚に訴える図表が、プレゼンテーションで聴衆を引き付けることは間違いありません。このようなグラフィックや図表は印象的で、専門家による仕事であるという印象を与えます。
高品質なグラフィックは、プレゼンテーションやレポートを玄人受けする見栄えにするうえで大きな効果があります。OpticStudioは、日常の図表を容易に様変わりした姿にすることができる多彩なグラフィック機能をサポートしています。
この記事の目的は、OpticStudioでグラフィックのエクスポートと作成に使用できるさまざまな技法を詳しく説明することにあります。グラフィックのコピーとエクスポートの方法、グラフィックに注釈を追加する方法、面のオパシティレベルと色を変更する方法、迅速で容易なアニメーション作成方法を取り上げます。
OpticStudioのグラフィックのエクスポート
グラフィックのエクスポートでは、どのような聴衆がそれを見るかを理解することが重要です。
たとえば、OpticStudioの 2D レイアウトは専門の技術者にきわめて有用ですが、一般的な聴衆の興味を引くには、実際のところ不十分です。
この場合は、シェーデッドモデルを選択するだけで図のプレゼンテーション品質が向上します。
シェーデッドモデルには、2D 断面図にはない機能がいくつかあります。たとえば、レンズの色とオパシティを変更できます。また、モデルの向きを変更し、断面図を表示できます。
色の組み合わせの変更、回転の追加、オパシティレベルの変更、3/4 に切り出した各エレメントの描画などによって、次のような図を容易に作成できます。
上記のようなあらゆるグラフィックウィンドウを BMP、PNG、JPG などのファイルとして保存できます。この操作には、ツールバーの[名前を付けて保存] (Save As)ツールを使用します。
エクスポートは、PNG、BMP、JPG の各フォーマットで可能です。これらのいずれかのフォーマットを選択すると、Windows の [名前を付けて保存] (Save As) ウィンドウが表示されるので、目的のファイル名とその保存先を指定して保存できます。
保存したファイルは、多彩な Windows アプリケーションにインポートでき、必要に応じて事後編集できます。プレゼンテーションを目的とする場合は、Microsoft PowerPoint などのプログラムに、このようなファイルを容易にインポートできます。これらのファイルの詳しいインポート方法については、各アプリケーションのドキュメントを参照してください。
グラフィックのサイズを変更する (サイズを大きくする) 場合は、クラシック表示を有効にして画像を PDF にエクスポートし、メタファイルとして保存することをお勧めします。この操作を実行するには、[設定] (Setup) → [プロジェクト環境設定] (Project Preferences) → [グラフィクス] (Graphics)の順に選択します。
このようにする理由は、ビットマップや JPG と異なり、メタファイルがベクトルグラフィックフォーマットであるからです。基本的な構想は、画像のレンダリング方法を記述した描画命令のシーケンスでベクトルグラフィックを記述することにあります。これにより、全面的にデバイスに依存しないグラフィックが得られます。詳しい説明については、こちらをクリックしてください。1したがって、メタファイルを縮小しても拡大しても画像が劣化しません。
元々は小さいディテクタビューアのプロットを拡大した 2 つの図を以下に示します。一方はメタファイル、他方はビットマップです。どちらがメタファイルでどちらがビットマップであるかは一目瞭然です。
クリップボードへのコピー
Windows できわめて有用な機能としてクリップボードがあります。クリップボードはグラフィックやテキストの「一時的な保存場所」です。クリップボードの利点は、ほとんどすべての Windows プログラムとクリップボードとの間でデータのインポートとエクスポートができることにあります。OpticStudioのグラフィックをクリップボードに保存するには、画像を右クリックして[画像をクリップボードに保存] (Copy image to Clipboard)を選択します。各解析ウィンドウのツールバーには [コピー] (Copy) 機能もあります。
アクティブなウィンドウで Ctrl キーを押しながら C キーを押しても同様の操作になります。このデータ転送はきわめて高速なので、見た目には何の変化も現れません。しかし、コピーしたデータは他のアプリケーションで使用できるようになっています。
クリップボードへのコピーは高速かつ容易であるだけではなく、メタファイルを使用してクリップボードにグラフィックをコピーできます。そのグラフィックを他の Windows プログラムに貼り付けるかインポートすると、ベクトル表現を使用してそのグラフィックを描画できます。
OpticStudioのグラフィックを他のアプリケーションに取り込む方法としてスクリーンキャプチャもあります。いくつかのツールでこの方法を使用できます。その 1 つとして、Windows 10 に付属の Snipping Tool があります。このツールは、Windows の [スタート] (Start) メニューで探して使用できます。
グラフィックをOpticStudioから外部のソフトウェアにエクスポートして、そこで注釈を追加できます。また、使いやすい注釈機能を使用して、OpticStudioで注釈を直接追加することもできます。この注釈機能では、注釈エディタのほか、[線] (Line)、[矢印] (Arrow)、[テキスト] (Text)、[ボックス] (Box) の各コマンドを使用できます。各コマンドにはそれぞれに独自の構文があります。ヘルプシステムの「[解析] (Analyze) タブ (シーケンシャル UI モード)」→「グラフィックとテキストウィンドウの操作」→「注釈機能の使用」を参照してください。
注釈機能を使用するには解析ウィンドウのツールバーに移動します。
たとえば、テキストを選択するとレイアウトの背景色が変化します。ここでテキストの表示位置を選択できます。表示位置をクリックすると注釈テキストのダイアログがポップアップ表示されるので、目的のテキストを入力できます。
[OK] (OK) をクリックすると、選択した位置にテキストが表示されます。
解析ウィンドウの別の位置をクリックすることで、別の注釈の追加を継続できます。このツールを終了するにはキーボードの Esc キーを押します。
新たに作成した注釈の編集や削除には注釈エディタを使用できます。このエディタは、ツールバーに鉛筆のアイコンで用意されています。注釈エディタは、各コマンドをそのテキスト構文形式で表示したテキストエディタ形式です。このエディタでは、線やテキストの正確な位置の制御、テキストのフォントの制御、複雑な注釈の追加などが可能です。
注釈を削除するには、注釈エディタで注釈の行を削除します。注釈エディタ下部の[保存] (Save)ボタンで注釈ファイルを保存でき、[ロード] (Load)ボタンで注釈ファイルを読み込むこともできます。追加のコマンドをいくつか使用することで、わかりやすいラベルを図表に追加できます。2 種類のコンフィグレーションを区別するうえで効果的です。
シェーデッドモデルプロットの色の変更
OpticStudioで面 (シーケンシャルの場合) またはオブジェクト (ノンシーケンシャルの場合) をシェーデッドモデルプロットに表示するときの色を、面ごとまたはオブジェクトごとに変更できます。
面の色は、[面のプロパティ] (Surface Properties) → [タイプ] (Type) タブ (シーケンシャル) で[面の色] (Surface Color)を使用して変更できます。オブジェクトの色は、[オブジェクトプロパティ] (Object Properties) → [描画] (Draw) タブ (ノンシーケンシャル) で[オブジェクトカラー] (Object Color)を使用して変更できます。
ドロップダウンメニューでは各色が番号で示され、同時に色のプレビューが表示されます。これによって、各色を容易にプレビューしてから目的の面やオブジェクト向けに選択できます。
メニューにある 24 色からいつでも色を選択できます。ただし、各色番号に相当する色を柔軟に変更できます。これにより、膨大な数の色を自由に作成してOpticStudioで使用できるようになります。
このような色は[設定] (Setup) → [プロジェクト環境設定] (Project Preferences) → [色] (Colors)で制御します。各色は、赤、緑、青の 3 原色のそれぞれを 0 ~ 255 の値で指定して組み合わせることで表現します。色を変更するには、赤、緑、青に目的の値を入力します。
各色番号を目的の色に変更した後、[適用] (Apply)→[OK] (OK)の順にクリックします。[リセット] (Reset)をクリックするとデフォルトの色設定に戻すことができます。
これで、プロパティのダイアログで選択した色番号の色が、新たに作成した色に変化します。この機能は、調和した色で視覚に訴えるプロットを作成するうえで効果的です。次のように、設計にある特定の形状を強調または区別するために特定の色を適用できます。
オパシティとシェーデッドモデルの設定
シェーデッドモデルで面やオブジェクトを半透明表示にして、光線の経路を見やすくすることもできます。このようにしないと、体積内部の光線の経路が見えず、他のオブジェクトの内部に全体または部分が隠れているオブジェクトが見えません。また、プロットの回転に伴ってオブジェクトの背後に回った他のオブジェクトが見えなくなります。
[オブジェクトプロパティ] (Object Properties) ダイアログまたは [面のプロパティ] (Surface Properties) ダイアログの [色] (Color) 設定の横に、そのオブジェクトや面のオパシティ設定があります。オパシティが 100% のオブジェクトや面は全面的に不透明です。オパシティが 0% のオブジェクトや面は、実質的に描画されていない状態と同等になります。
オパシティは手動で設定できるほか、OpticStudioにオパシティを設定するように指示することもできます。そのためには、シェーデッドモデルビューで[オパシティ] (Opacity)に[考慮する] (Consider)を選択します。
このように設定すると、すべてのオブジェクトと面が見えるように、OpticStudioによってそれらのオパシティ設定が更新されます。
シェーデッドモデルと NSC シェーデッドモデルには、図の外観の変更に使用できる設定がほかにも多数あります。シーケンシャル光学系のシェーデッドモデルには、断面図、半径方向セグメント数、角度方向セグメント数、明るさ、背景、オパシティなどの設定があります。
円滑な面を作成するには、半径方向セグメント数と角度方向セグメント数を大きくします。背景の設定でシェーデッドモデルレイアウトの背景色をさまざまな色に変更できます。この色は、[プロジェクト環境設定] (Project Preferences) → [色] (Colors)メニューで定義した 24 色からも選択できます。明るさの設定ではレイアウトの明るさを調整できます。高い比率値の明るさを選択すると表示が明るくなります。
プロパティのダイアログで各面のオパシティを個々に変更することなく、オパシティの設定をオフにすることができれば便利なこともあり得ます。その場合は、シェーデッドモデルで[オパシティ] (Opacity)を[無視] (Ignore)に設定する方法があります。シェーデッドモデルでオパシティを変更すると、各面のオパシティを個々に更新する場合とは異なるアルゴリズムを使用してシーンがレンダリングされます。目的のレンダリング効果が得られる方法を選択します。
シェーデッドモデルの設定で [描画部分] (Draw Section) プルダウンメニューを使用して、エレメントの一部のみを表示することもできます。エレメントの 1/4 を単位として、表示する部分を 1/4、1/2、3/4、全体から選択できます。
アニメーション
他のソフトウェアを併用することで、OpticStudioのあらゆるグラフィックから容易にアニメーションを生成できます。画像のキャプチャとアニメーションのソフトウェアパッケージが多数市販されているので、特定のソフトウェアの購入と使用にこだわる必要はありません。この記事では、低価格で使いやすい GIF アニメーションソフトウェアであるEasy GIF Animatorを使用しています。
Easy GIF は、指定された遅延時間で一組の画像を順番に表示することでアニメーション効果を生成できます。.Easy GIF Animator では、.GIF、.JPG、.JPEG、.BMP、.ICO、.EMF、.WMF の各ファイルからアニメーション化した GIF ファイルを作成できます。OpticStudioからは .JPG、.BMP、.EMF、.WMF の各フォーマットでグラフィックをエクスポートできるので、一連の画像をOpticStudioからエクスポートして、アニメーションの各フレームとして Easy GIF Animator にインポートできます。
一度に 1 つずつ各ウィンドウを手動でエクスポートできるほか、ZPL の機能を使用してこのプロセスを自動化することもできます。ZPL には、グラフィックウィンドウのエクスポートに使用できるキーワードがいくつか用意されています。このようなキーワードは、画像をエクスポートする GUI 呼び出しそのものを模倣します。EXPORTBMPとEXPORTJPGは、あらゆるグラフィックウィンドウをそれぞれ BMP または JPG としてエクスポートします。これらのキーワードのいずれかを文字列関数 ($STR) と組み合わせると、複数の画像をそれぞれ異なるファイル名でエクスポートできます。これにより、これらの画像をアニメーションソフトウェアに読み込むことができます。
ZPL による画像のエクスポートの自動化を紹介するために、コーティングしたミラーの描画を唯一の目的として作成した簡単なシーケンシャルファイルを使用します。このファイルとともに短いマクロを使用します。このマクロは、ミラーをその Y 軸を中心にティルトする様子を収めた複数の JPEG 画像をエクスポートします。どちらのファイルも、この記事に添付されています。
次のマクロは、FOR ループを使用して、ミラーの前に設定された座標ブレーク面に [ティルト Y] (Tilt About Y) パラメータを設定します。ティルトの値が変わるたびにシェーデッドモデルウィンドウが更新され、それぞれ異なるファイル名で JPG ファイルとしてエクスポートされます。
Easy GIF Animator に 36 枚の画像をインポートすることで、プレゼンテーションを目的として、コーティングしたミラーの回転を表現するアニメーションを作成できます。
ZPL とアニメーションソフトウェアを使用することで、動画におけるOpticStudioの可能性は無限に広がり、聴衆を実際に魅了できます。アニメーションパッケージはそれぞれ異なるので、OpticStudioからエクスポートしたファイルでアニメーションを作成する方法を、各製品のドキュメントで詳しく確認することをお勧めします。OpticStudioのナレッジベース記事には、エクスポートしたOpticStudioのグラフィックからアニメーションを作成するさまざまな可能性に触れているものがあります。
References
1. TALtech. 2019. Raster vs Vector Images and How They Relate to Barcodes. www.taltech.com/support/entry/raster_vs_vector_images_and_how_they_relate_to_barcodes.
KA-01732
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