迷光解析の紹介 - パート 1

光学設計においては、光学性能が良くても像面上に不要な光がある場合があります。このような不要光の経路をどのように見つけ出し、その経路での吸収を設定したり、遮断したりするかは、迷光解析の最も重要な部分です。この記事は 3 つ連続する記事のうちの 1 つで、NSC グループに変換ツールを使用してシーケンシャルモードのシステムからノンシーケンシャルモードへ変換し、迷光を表示する方法を紹介しています。

著者 Michael Cheng, Yihua Hsiao

Introduction

実際のプロトタイプを作成する前に、迷光が性能に与える影響を調査することはきわめて重要です。一般的に、迷光とは、設計された経路を通ってシステムに入らずに像面に到達して、像を劣化させる光を意味します。 

写真の分野では、迷光の一般的な光源は、視野外の強い光源(太陽など)です。このような光源からの光は、システムの機械部品または光学部品からの散乱によって像面に到達します。あるいは、視野内の光源からの光では、像面に集光される前に、レンズ表面で複数の二次反射によって発生する場合があります。 

実例のための準備作業

まず、迷光解析のための実例をご紹介します。 内蔵サンプルファイル Samples\Sequential\Objectives\Double Gauss 28 degree field.zmx を開きます。 

いくつかの OpticStudio ツールを使用して、迷光解析用の実例ファイルを準備します。まず、すべての面にコーディングの追加ツールを使用して、すべての表面からコーティングを除去します。どのコーティングがより効果的かは、後ほど確認します。 

  

 

デザインの固定

次にデザインの固定ツールを実行します。これにより、レンズが実際の条件に合致し、解析結果がより正確になるようにシステムの設定を調整します。より詳細な説明は、ヘルプファイルを参照してください。

  

 

クリティカル光線セットの生成

ノンシーケンシャルモードに変換する前に、シーケンシャルモードのクリティカル光線をエクスポートします。これにより、ノンシーケンシャルモードでクリティカル光線セットを直接調べることができます。その方法は以下の通りです。

 

  

 

NSC グループに変換

OpticStudio で迷光を解析する最も便利な方法はノンシーケンシャルモードであり、NSC グループに変換ツールを使用すると、シーケンシャル モードからの変換が 1 ステップで可能になります。 

シーケンシャルモードからノンシーケンシャルモードへの変換については、ナレッジベースの記事「シーケンシャル面からノンシーケンシャル オブジェクトへの変換」で詳しく説明されています。 

ファイル...NSC グループに変換をクリックし、すべての設定をデフォルト値のままにして、OKをクリックします。 
 

  

 

下図のように、純粋なノンシーケンシャルモードに変更されています。すべてのレンズが面からオブジェクトに変換されています。また、シーケンシャル システムの視野と像面の位置を表現するために、いくつかの光源とディテクタが含まれていることがわかります。このシステムは、ノンシーケンシャルモードに組み込まれている以外は、オリジナルのシーケンシャルモードの設計と同じです。

 

 

迷光解析において、ノンシーケンシャルモードで便利な機能の一つは、光線の分割です。解析...NSC 3D レイアウト ウィンドウを開き、NSC光線の分割にチェックを入れます。 各レンズ面で光線の部分反射部分透過や多重反射が確認できます。これはシーケンシャルモードでは見ることができません。

  

 

NSC シェーデッド モデルでも確認できます。

 

  

 

クリティカル光線セット状態の確認

解析...クリティカル光線追跡ツールを開くと、各視野の主光線とマージナル光線がノンシーケンシャルモードのシステムを正常に通過できることがわかります。機械部品を設計して CAD ファイルまたはインポートするか、OpticStudio のネイティブ オブジェクトとしてシステムに追加した場合、それらがクリティカル光線セットを遮断しないことを確認するために、ツールを再度使用する必要があります。

 

 

迷光解析に必要な設定

これでシステムの準備が完了したので、メインの迷光解析に移ることができます。迷光解析を開始する前に、いくつかの設定を調整する必要があります。 

第一に、各光線の最大交差数(Maximum Intersections Per Rays)と各光線の最大セグメント数(Maximum Segments Per Rays)を最大数(それぞれ 4000 と 2000000)に調整することです。迷光解析では、解析したい光が何度も反射して散乱することがあります。最大セグメント数や交差点の設定が不十分な場合、すべての条件を解析できない場合があります。  

ここで、解析光線の数を 5000 に減らしました。迷光を解析する場合、通常は各光線が多数の子光線に分裂します。光線追跡の速度は、分割しない場合に比べて10倍以上遅くなることがあります。今回のデモの目的では、光線追跡の時間を抑えるために、1 光源あたりの光線数を 5000 に制御しています。


 

最後のステップは、ディテクタのピクセル数を 150x150 に設定することです。ピクセル数が少なければ、必須の解析光線数も少なくて済むということになります。

 

初步的な光線追跡の結果

これで初步的な光線追跡の結果を見ることができるようになりました。光線追跡をクリックし、下図のように操作を設定します。なお、下図のように、追跡時には「偏光を使用」、「NSC光線の分割」にチェックを入れてください。

 

  

 

光線追跡が完了したら、解析...ディテクタ ビューアを開きます。このツールの場所は以下の通りです。

  

 

下図のように設定します。

  

このシステムでは、多重反射による迷光(下図のような雪の結晶のような空色の点)が見られます。この結果は、先ほどの  3D レイアウトで見た NSC 光線の分割を有効にしたときの結果と一致しています。NSC 光線の分割が可能なため、ノンシーケンシャルモードでのみ多重反射を確認することができます。

  

 

KA-01844

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