OpticsBuilder を導入することで、CAD ユーザはエラーを早期に発見でき、光学エンジニアとのやり取りが削減され、高額な物理試作を回避できます。それを可能とするのは、光線のケラレ、画像のコンタミ、スポットサイズの変動という性能評価指標に対する影響を示す解析ツールです。OpticsBuilder は OpticStudio と同じ物理コアを使用するため、CAD ユーザは性能評価指標への影響を確認し、完全な CAD 環境内でエラーを発見することで、製造コストを削減します。CAD ユーザは設計したメカパッケージが光学性能に影響を及ぼしているかについて、光学エンジニアからの情報提供を待つ必要はありません。これによって、光学性能を維持しながら、光学設計とメカ設計間のコミュニケーションが合理化されます。
著者 Jacob Hart
Introduction
OpticsBuilder を導入することで、CAD ユーザはエラーを早期に発見でき、光学エンジニアとのやり取りが削減され、高額な物理試作を回避できます。それを可能とするのは、光学性能への影響を示す解析ツールです。
精度設定
光学系のシミュレーション前に、リボンの システム設定 をクリックしてシステム設定ウィンドウを開きます。
精度設定 タブを選択して、光線追跡における光線数を設定します。Zemax は、高い水準の光線追跡に 10,000 本を推奨しており、 設計が洗練されるにつれて光線数を多くします。最大 1 億本の光線を追跡できますが、1 億本の光線を追跡するには最小で 150 GB のディスク容量が必要になります。
部品のレンダリング モードも、精度設定 で変更できます。機械部品の追跡 の下のドロップダウンリストからレンダリング モードを選択できます。光学系に含まれる各面のプロパティについて、複数の個別の部品からなるシステムとしてレンダリングするか、単一部品としてレンダリングするかを選択します。多くの面を含む大きなモデルにおいては、すべての部品を単一部品 (モデルの面特性ごと) として追跡すると、光線追跡が大幅に高速になる場合があります。
設計設定 (.ZBD ファイルから)
ZBD ファイルを作成するとき、光学エンジニアはいくつかのデフォルトの設定を行います。光線を散乱させるか、分割させるか、性能評価指標として許容デルタの設定です。また、光学エンジニアからの注釈が表示されます。これらの設定は、CAD ユーザによって変更できます。設計設定 の左下から光学エンジニアが設定したデフォルトに戻す機能もあります。
散乱を有効にすると、各面における散乱特性が適用されます。散乱を無効にすると、すべての機械部品の表面は鏡面仕上げとなります。
光線分割を有効にすると、光線が光学部品もしくはオプトメカ部品の表面に到達したときに、親光線から散乱、反射、透過の光線に分割されます。この設定は光学モデル内のエネルギーの流れをより正確にモデル化できますが、追跡する光線の数が増えるにしたがって光線追跡時間が長くなります。
ノンシーケンシャル光線追跡設定 (上級設定)
同様にノンシーケンシャル (NSC) 光線追跡設定も、OpticStudio で使用されているものを、OpticsBuilder で使用できます。
これらの設定は、以下のような意味があります。
- 光線の追跡が終端される前に、面で分割されるか交差する回数
- メモリに保存される光源光線の最大数
- 光線の追跡が終端される前の、カットオフ相対光線強度と絶対光線強度
- 貼り合わせレンズ間の距離
- 光線の追跡が終端される前の、すべてのオブジェクトに到達しない光線を描画する長さ
ノンシーケンシャル光線追跡設定を変更すると、シミュレーション時間が大幅に変わる可能性があります。光線の交差数やセグメント数を増やすと、光線が面で散乱したり分割されることでより多くの経路を追跡することになります。最小相対光線強度や最小絶対光線強度を小さくすると、その最小強度基準で光線の追跡が終端されるまで長い距離を追跡することになります。許容できるシミュレーション精度を維持しながら、そのファイルでの光線追跡に要する時間を最適化するには、ノンシーケンシャル光線追跡設定の実験的な検証が重要です。
シミュレーションの実行
Creo で 開く をクリックして /Documents/Zemax/Samples/OpticsBuilderCreo/Heliar へ移動します。
- heliar_37mm.asm を開きます。
- リボンの シミュレーション をクリックします。
OpticsBuilder は以下のプロセスを自動的に実行します:
- すべての光学部品を計算領域に加える
- 散乱特性が与えられていないメカ部品に、黒色アルマイト (Black Anodized) 散乱特性を定義する
- ベースライン光線追跡を実行し、メカ部品が無い状態の光学系の性能を記録する
- 2 回目の光線追跡を実行し、メカ部品を含めた光学系の性能を記録する
- 2 つのデータセットを比較し、スポットサイズ、光線のケラレ、画像のコンタミの差分を計算する
- グラフィック領域にシミュレーションした光線を表示する
- 結果を示すウィンドウを開く
結果のウィンドウ
シミュレーションが成功した後に、結果のウィンドウが表示されます。
性能評価指標が許容値よりも大きかった場合、結果のテーブルでその指標が赤色にハイライトされます。白色の性能評価指標をクリックすると、緑色のチェックマークの代わりに評価指標の数値が表示されます。
結果のテーブルの ディテクタを表示 を選択すると、ディテクタを参照できます。
各視野のディテクタとコンフィグレーションについて、RMS スポットサイズ、到達した光線数、ピーク放射照度、スループット (ディテク上の総パワー) が表示されます。
結果のテーブルにある ケラレ光線の表示、もしくは コンタミ光線の表示 を選択すると、ディテクタに到達しなかった光線と、意図しないディテクタに到達した光線をそれぞれプロットします。ケラレ光線をプロットすることで、どの機械部品が光線を遮断したかを確認するのが容易になります。
ケラレ光線 (通常は紫色) の表示を見ると、Heliar アセンブリの中央にある円環が光線を遮蔽していることが分かります。円環の内径が大きくなるよう修正することで、光線のケラレが減少し、画質が改善します。円環のパーツモードに入り、スケッチ モードで形状を修正します。スケッチ モードを抜けてパーツを閉じると、アセンブリ モードに戻ります。アセンブリ モードでもう一度シミュレーションを実行して、修正したシステムの画質の性能評価指標を確認します。
ケラレ光線が表示され、最初のレンズのプレッシャー リングで光線がケラレていることが分かります。さらなる部品の修正とシミュレーションによって、すべての光学性能評価指標が許容値以下になるように機械部品を設計できます。
KA-01958
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