OpticsBuilder の光線ジオメトリ

この記事では、Zemax OpticsBuilder の光線ジオメトリ機能について説明し、Zemax のサンプル ファイルに用意されている光学機械の事例をいくつか紹介します。 

著者 : Flurin Herren 

 

ダウンロード 

これらの事例と機能はすべて、Creo Parametric 4 で確認しており、デフォルト設定のインストール環境で扱っています。すべてのサンプル ファイルは以下のディレクトリにあります。 

  • ..\Documents\Zemax\Samples\OpticsBuilderCreo 

はじめに 

Zemax OpticsBuilder は、Zemax OpticStudio で得られた光学設計を、CAD 環境で使用できるデータへ直接変換します。これにより、CAD ユーザーが機械部品による光学性能への影響を解析し、製造対応の光学図面に設計をエクスポートできます。光線ジオメトリは、Zemax OpticsBuilder ツールの [シミュレーション] (Simulation) グループを構成する重要な要素であり、CAD 環境のネイティブなアセンブリ制約ツールと光学設計を結び付けます。 

各機能を扱うサンプル ファイルは次のとおりです。 

  • 主光線 - サンプル ファイル : 超短焦点プロジェクタ 
  • 光線フットプリント境界 - サンプル ファイル : フラッシュ LiDAR

主光線 - 超短焦点プロジェクタ 

主光線ツールは、主光線の設定で選択された光源に基づいて主光線を生成します。光源の中心からこれらの主光線を射出し、光学系の z 軸方向に追跡します。主光線のセグメントをクリックして CAD ツールを使用すると、主光線の位置を測定して、主光線に機械部品が及ぼす影響を解析できます。ultrashort_throw_projector.asm アセンブリに収められているサンプル ファイルの 1 つを使用して、この機能を説明します。このサンプルを開くと、次の図のような画面が表示されます。 

Inital_Setup.png

まず、[高度な設定] (Advanced settings)  絞り面 オブジェクトを設定し、その位置における主光線位置の最大変位を設定する必要があります。このサンプルでは、この値として 0.0254 mm を使用します。主光線は、ゼロ位置からこの値だけ変位できます。次に、絞り面 オブジェクトを定義します。Zemax OpticStudio 側では [OpticsBuilder 向け前準備] (Prepare for OpticsBuilder)  絞り面 オブジェクトを定義できます。そこで当初の ZBD 設定を読み取り専用に設定していなければ、OpticsBuilder 側で 絞り面 オブジェクトの選択を変更できます。 

  • なお、すべてのサンプル ファイルには、主光線位置の最大変位と 絞り面 オブジェクトが設定されています。 

これで、光線ジオメトリで主光線を適用できます。 

2022-02-17_16-28-57.png

そのための次の手順として、光線ジオメトリで扱う光源と除外する光源を定義します。光学機械系の基本的な設定を変更しているので、ここでシミュレーションの再実行が必要です。シミュレーションを実行した後、間違いなく主光線を扱うことができるように、主光線以外の光線を非表示にすると効果的です。この状態を容易に実現するには、OpticsBuilder [モデル] (Model) ツリーで [シミュレーション光線] (Simulation Rays) セクションに移動し、非表示にする光束を右クリックして [非表示] (Hide) を選択します。 

mceclip1.png

この操作の後、任意の主光線をクリックすると、Creo Parametric のグラフィック領域の簡略メニューがポップアップ表示されます。これで、Creo のすべての合致ツールと測定ツールで主光線を操作できます。 

光線フットプリント境界 - フラッシュ LiDAR

光線フットプリント境界の機能では、レンズ表面に投影される光線フットプリント境界を光源別に表示できます。複数の光源を選択し、複数のフットプリントを光源別に同時に表示できます。flashlidar.asm アセンブリに収められているサンプル ファイルの 1 つを使用して、この機能を説明します。このサンプルを開くと、次の図のような画面が表示されます。 

InitalFlashLidar.png

[幾何光学光線] (Ray Geometry Tool) グループで [光線フットプリント境界] (Ray Footprint Boundaries) 機能を選択すると光源を選択できます (複数選択可)。フラッシュ ライダーの場合、光源は 1 つのみなので、その光源を選択します。 

RayFootprintSetUP.png

光線のシミュレーションが自動的に再度実行され、光学部品の各面に伝搬した光のフットプリント境界がスケッチとして保存されます。このスケッチを使用して、機械部品の詳しい設計や、光学機械アセンブリにある特定の関係に対する制約などができます。 

RayFootprint.png

個々の部品のモデル ツリーにもスケッチの名前が表示されます。Creo Parametric のグラフィック領域の簡略メニューを使用して、これらのスケッチを編集し、使用できます。 

 

光線フットプリントの制限事項 

The Ray Footprint Boundaries features has some limitations, first of all there are some unsupported cases:

  • ビーム スプリッタを備えた光学系では、NSC 光線を分割するために偏光を使用するように高度な設定を変更しない限り、一直線の光線経路のみが表示されます。 
  • コーティングによる反射があり、光線に意図した主要経路が一直線ではない光学系では、NSC 光線を分割するために偏光を使用するように高度な設定を変更しない限り、反射光線の経路が表示されません。 
  • 各光線が同一直線上にある光学系では、どの位置にもフットプリントが生成されません。この状態になると、エラー メッセージまたは警告メッセージが表示されます。 
  • 偏光に依存する光学系。 

光線フットプリント境界が対応していない状況 

光線フットプリントは、ほとんどの光線が収まると考えられる範囲を示す確率分布なので、光線フットプリントの外部に到達する光線があることが想定されます。 

レンズ上に複数のフットプリントがあるということは、意図した経路をたどらない光線があることを示しています。その原因として、ビームの遮蔽や画像のコンタミの発生などが考えられます。具体的な部品のモデル ツリーで各フットプリントの命名を詳しく調べることで、このようなフットプリントがどのように生成されているかを確認できます

Limitations.png

フットプリント名にある S は光源番号、F は面のインデックス、P は光線の経路レベル (光源から目的の光線までの間で発生したセグメントの数)O はフットプリントを形成する前に光線が到達したオブジェクトの番号です。したがって、この図に赤枠で示したフットプリントは、光源 1 を発し、レンズの面 2 に到達した光線で構成されています。その光線の経路レベル 3 で、面 2 に到達する前にオブジェクト 5 に到達しています。 

 

補足情報 

Zemax OpticsBuilder で使用上の問題が発生した場合は support@zemax.com までお問い合わせください (アクティブなライセンスを保有するユーザー様専用です)。当社の光学設計と機械設計の専門家がいつでもご相談をお待ちしています。 

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