入門ガイド 7 : ノンシーケンシャル光学系の最適化

この記事では、ノンシーケンシャル モードでの最適化の方法について解説しています。

著者 Takashi Matsumoto

ノンシーケンシャルのみの光学系およびノンシーケンシャルとシーケンシャルのミックスモード光学系の両方で、最適化が全面的にサポートされています。ノンシーケンシャルのみの光学系を最適化する際に広く使用されている方法は、最適化ウィザードを使用した後で特定の要件に応じて変更を追加することです。 OpticStudio では、ノンシーケンシャル設計向けに 3 種類のウィザードをサポートしています。


ノンシーケンシャル光線追跡で使用するオペランドが数多く用意されていますが、頻繁に使用するものは NSTR と NSDD です。NSTR は光線追跡に使用するオペランドで、その機能は [光線追跡コントロール] (Ray Trace Control) ダイアログとまったく同じです。

NSDD はディテクタのクリアとディテクタ データの読み取りに使用します。どのピクセルも直接読み取ることができますが、最適化の場合は集合光線データを最適化すると便利であることが普通です。このようなデータとして、空間領域または角度領域でのセントロイドの位置や有効幅などがあります。NSDD オペランドで負のピクセル番号を使用すると、すべてのピクセルの平均と標準偏差、空間または角度でのセントロイドと RMS 幅などのデータを計算できます。

Samples\Non-sequential\Miscellaneous フォルダにあるサンプル ファイル Freeform Optimization.zmx を開きます。このファイルには、Osram 社の LB_T67c LED 向けに同社が提供している CAD パートと光源光線ファイルが収録されています。また、ここで形状の最適化の対象とするライトパイプも収められています。

LED のデータ ファイルには出力が 50.7 lm (ルーメン) の場合のデータが収められていますが、ここでは光源の出力を 1 lm に設定します。このような設定により、強度をスケーリングしていること以外は光線追跡に影響を与えず、一方で総出力を 1 lm としているので効率を容易に計算できます。

 

ライトパイプはフリーフォーム Z オブジェクトであり、(y, z) データ ポイントの集合で定義します。OpticStudio では、これらのデータ ポイントに滑らかなカーブをフィッティングし、そのカーブを Z 軸を中心に回転して、回転対称のパイプを形成します。この時点ではこのパイプは単なるシリンダですが、(y、z) データは変数として設定されています。

また、ディテクタ オブジェクトの z 位置および x 方向と y 方向の半幅は、ピックアップ ソルブでフリーフォーム Z オブジェクトによって決まります。こうすることで、最適化でパイプの長さを変更しても、ディテクタが必ずライトパイプの出力フェイス直前に配置されます。また、最適化で出力フェイスの幅を変更しても、そこからの光をすべて捉えることができるようにディテクタの幅が調整されます。

このライトパイプで最大の目標は、前方向の明るさを最大にすることにあります。したがって、光度をできるだけ大きくし、角度空間での光度プロットの幅をできるだけ小さくする必要があります。また、ライトパイプの幅と長さの最大値と最小値に制約がある場合は、それも満足する必要があります。

ここでメリット ファンクション エディタを開いて、評価関数を検討します。まずディテクタをクリアしてから光線を追跡します。次に、ピクセル番号に -9 (RMS 幅を返す指定)、Data に 2 (単位立体角あたりの出力を返す指定) をそれぞれ設定して、ディテクタ データの RMS 角度幅を計算します。開始ビームの RMS 角度幅は 48.5° です。

 

開始ビームのピーク光度は 0.38 lm/sr ですが、これは明らかに余分な数値の影響を受けた値です。

 

さらに、検出される総出力を最大にするという目標も設定します。これは重要な制約です。ディテクタに光線がまったく到達しない場合は、RMS 角度幅がゼロになるからです。しかし、これは求めている解ではないので、受光出力が最大、角度幅が最小になるように最適化を実行します。

パイプの形状にもいくつかの制約があります。ヘルプ ファイルの「[最適化] (Optimize) タブ」で FREZ オペランドの詳細な説明を参照してください。これらの制約により、ライトパイプが実現不可能なほど太くなったり細くなったりすることを防止できます。

最適化を実行し、最適化オペランドとして [直交降下法] (Orthogonal Descent) を選択します。この代替のローカル最適化機能は、特にノンシーケンシャル光学系の性能を短時間で大幅に改善する際に適しています。その結果に対して DLS 最適化を実行すると、さらに性能の改善が望めることが普通です。

最適化を 5 サイクル実行すると、ピーク光度 102 lm/sr が得られるまでライトパイプの形状を改善できます。これは設計着手時の 200 倍を上回る明るさであり、RMS 角半径は 9° 未満になります。

 

ピックアップ ソルブを使用しているので、ディテクタ オブジェクトの位置が変化し、サイズが大きくなっています。また、パイプの効率は約 65% 向上しています (上記の総出力を光源の送出出力 1 lm と比較してください)。

 

 

 

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