本稿では、ネスティング ルールやブール ネイティブ オブジェクト 、 アレイ オブジェクトといった、より複雑な形を作れるオブジェクトや操作について説明しています。
著者 Takashi Matsumoto
OpticStudio には豊富な種類のオブジェクトが用意されていますが、そのまま使用できるオブジェクトが見つからない場合もあります。そのような場合に、既存のオブジェクトを操作して、必要な機能を備えたオブジェクトを作成する方法があります。
ネスティング ルール
空間の中で複数のオブジェクトが同じ領域を占めている場合は、簡単なルールが適用されます。このように共有している領域のプロパティは、ノンシーケンシャル コンポーネント エディタで最後に記述したオブジェクトで決まります (そのオブジェクトの種類は無関係です)。これをネスティング ルールと呼びます。
サンプルファイルのNon-sequential\Diffractives\Diffraction grating lens with hole.zmx を開きます。シーケンシャルとノンシーケンシャルが混在するこの設計には、回折力を持つレンズがあり、その中央には回折力のない領域が存在します。
この様なオブジェクトは、エディタ上で回折エレメントの後に非回折エレメントを記述し、同じ位置に配置することで容易に実現できます。複数のジオメトリ オブジェクトを重ねる場合、重ね合わせたどのオブジェクトもその内部に光源オブジェクトを持っていなければ、 [内部配置] (Inside of) フラグを使用する必要はありません。ジオメトリ オブジェクトは、完全に重ね合わせることもできるほか、その部分のみを重ね合わせることもできます。一方、光源オブジェクトは、同じ場所を占めるあらゆるオブジェクトの内部にその全体を配置する必要があります。その場合、光源オブジェクトだけではなく、その外側の重ねあわされたすべてのジオメトリ オブジェクトでも [内部配置] (Inside of) フラグを設定する必要があります。
ブール ネイティブ オブジェクト
ブール ネイティブ オブジェクトを使用すると、最大 8 個のオブジェクトを任意の順序で組み合わせることができます。ブール ネイティブ オブジェクトを、さらに他のオブジェクト (他のブール オブジェクトも含む) と組み合わせることも可能です。たとえば、サンプル ファイルの Samples\Non-sequential\GeometryCreation\Boolean Example 2- a lens witha hexagonal edge.ZMX では、レンズと六角柱とのブール交差で六角レンズを作成する方法を紹介しています。
Non-sequential\GeometryCreation フォルダの各種サンプル ファイルにもその他の例を収録しています。
アレイ オブジェクト
アレイ オブジェクトを使用すると、任意のオブジェクトの一次元、二次元、三次元のアレイを作成できます。その例として、ブール オブジェクトのアレイがあります (Samples\Non-sequential\GeometryCreation\Array Example 3- an array ofBoolean objects.ZMX)。
複数のオブジェクト定義を使用する方法よりも、アレイ オブジェクトの使用を強くお勧めします。これには、以下の理由があります。
· 同数の個別オブジェクトを定義するよりも、メモリ消費量が圧倒的に少なくてすみます。必要となるメモリ量は、親オブジェクトのインスタンス 1 個分に要する量をわずかに超える程度にすぎません。
· 光線追跡を高速化する高度な手法を採用しているので、同数の個別オブジェクトを使用した場合に比べ、数桁高速な演算を実現できます。
· 複数のオブジェクトを入力する場合よりも配置ミスの可能性が低くなります。また、1 つのオブジェクトのみの更新または最適化で、アレイ全体の更新または最適化が可能です。
アレイ リングを使用すれば、円形アレイ、6 極アレイ、螺旋アレイも作成できます。アレイ リングにも、上で説明したアレイ オブジェクトと同じ利点があります。下図は、Samples\Non-sequential\GeometryCreation\Ring Array Example 3- Hexapolar Array.ZMX の例です。
光源 (オブジェクト)
光源 (オブジェクト)を使用することで、どのジオメトリ オブジェクトも光源として使用できます。これは、光学機械部品の輻射能を考慮する必要がある赤外解析や赤外線雑音解析に最適です。
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