入門ガイド 9.5 : 散乱方向の設定

この記事では、より効率的に光線追跡するための、散乱光の方向の制御方法について説明しています。

著者 Takashi Matsumoto

ディテクタなどの目的のオブジェクトに到達する比較的少数の散乱光を探し出すために、膨大な数の光線の追跡が必要になることがあります。OpticStudio には、効率的な散乱解析を実現できる高機能な方法が 2 種類用意されています。

その 1 つでは、散乱分布に従って光線を散乱したうえで、目的のオブジェクトに伝播する光線があれば、その光線のみを追跡します。この方法を実行するには、プロパティ インスペクタの [散乱方向] (Scatter To) タブでオブジェクトの [散乱方向] (Scatter To) リストを定義します。

 

[散乱方向] (Scatter To) によるこの方法では、ランバーシアン散乱のように光線の散乱角度が大きく、散乱面に対して目的のオブジェクトが張る角度が比較的大きい場合に良好な結果が得られます。

もう 1 つの方法では、必ず目的のオブジェクトの方向に光線を散乱し、実際にその方向に散乱する確率に応じて散乱光のエネルギーを正規化します。この方法を [重要度サンプリング] (Importance Sampling) と呼びます。散乱角が小さく場合、または散乱面に対して目的のオブジェクトが張る角度が比較的小さい場合は、[散乱方向] (Scatter To) より [重要度サンプリング] (Importance Sampling) の方が優れていることが普通です。

上記と同様にプロパティ インスペクタの [散乱方向] (Scatter To) タブで散乱方向の種類で [重要度サンプリング] (Importance Sampling) を選び、散乱する方向を示すオブジェクトの番号と散乱光が到達する範囲を設定します。

Non-sequential\Scattering フォルダのサンプル ファイル ImportanceSampling Demonstration.zmx を開きます。これは、[重要度サンプリング] (Importance Sampling) の利点を直接理解できる例です。必ず目的のオブジェクト (この場合はディテクタ) の方向に光線が散乱するので S/N 比が著しく向上します。

 

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