入門ガイド 3: マルチコンフィグレーションの設計

OpticStudio は、複数のコンフィグレーション (複数の設計バージョン) の計算にも対応しています。ズーム レンズ (レンズ間の距離が変化する光学系)、温度が変化する光学系、走査ミラーの角度が変化する光学系などのモデル化で、この機能が広く使用されています。ここでは、カタログ レンズを使用して生成したスポットをミラーによって像面上で走査する光学系をこの機能でモデル化します。

著者 Yihua Hsiao

 

OpticStudio には、すべての大手ベンダーのレンズ カタログが収録されているため、カタログ レンズを容易に検索できます。[ファイル] (File) → [新規作製] (New) をクリックして OpticStudio をクリアします。次に [ライブラリ](Libraries) → [レンズ カタログ] (Lens Catalog) をクリックし、

 

表示されたダイアログ ボックスで次のように設定します。

 

 

この設定は、焦点距離が 99 ~ 101 mm、入射瞳径が 20 ~ 25 mm の平凸一枚レンズを検索します。Edmund Optics 社のカタログに掲載された 4060 個のファイルの中から、この検索基準に合致するレンズが 27 種類選択されます。その中からレンズ 32481 を選択して、[読み込み] (Load) ボタンをクリックします。この在庫レンズが OpticStudio にロードされます。

 

 

この図では YZ 方向のシェーデッド モデルを使用し、YZ 平面を断面とした断面図とソリッド モデルが表示されています。

 

ここでの目標は、公称 90°の反射角を中心に±10°の範囲で焦点を走査する走査ミラーの設計です。

 

このレンズに入力されている設定では、その機械的アパチャーのエッジまでレンズが照らされるようになっています。レンズは何らかの構造材で保持されているので、入射瞳径を機械的直径より若干小さくする必要があります (機械的直径を変更できないカタログ レンズを使用しているからです)。システム エクスプローラを開いて、[アパチャー] (Aperture) を 18 に設定します。[単位](Units) タブで、使用しているレンズ ユニットを確認します。

 

次に、レンズ データ エディタの面 2 の行の任意の場所をクリックして、面 2 を強調表示します。この面の厚みは、マージナル光線の高さソルブで制御されています。これは、厚みの横に文字「M」が表示されていることでわかります。この設定により、このレンズは近軸焦点に保持されます。ソルブについては後述します。ここでは、面 2 をクリックしてから Insert キーを押し、新しい面を挿入します。この面の厚みを 70 mm に設定します。このレンズの合焦状態を維持できるように、最後の面の厚みが自動的に変化します。

 

 

次に、面 3 として、光を一定の角度で反射する「折り返しミラー」を定義します。面 3 をクリックしてから、レンズ データ エディタ ツールバーにある [折り返しミラーの挿入] (Add Fold Mirror) アイコンをクリックします。

ここで次のように設定します。

 

 

[折り返しミラーの挿入] (Add Fold Mirror) ツールは、選択した折り返し面の前後に 1 つずつ、合計 2 つのダミー面を挿入します。つづいて、折り返し面に材料タイプ [ミラー] (Mirror) を設定します。これは、光がこの面では材料で屈折せずに反射することを OpticStudio に指定する特殊な状態です。新たに挿入された 2 つの隣接する面は、適切なティルト角を持つ座標ブレークとして設定されます。2 番目のティルト角は、1 番目のティルト角からピックアップ ソルブで設定されます。最後に、これより後ろのすべての面の厚みと曲率は、新しいミラーを考慮して符号が反転します。

光は通常 +Z 方向 (左から右) に伝播しますが、ミラーに到達した後は明らかに別の方向に進みます。[折り返しミラーの挿入] (Add Fold Mirror) ツールと [折り返しミラーの削除] (Delete Fold Mirror) ツールは、面倒な符号変換をすべて自動化します。

 

次に、このミラーを±10°の範囲で走査できるようにします。はじめにミラーを +10°ティルトしておき、マルチコンフィグレーション機能で複数のティルト角を定義します。面 4 (ミラー面になっている面) をクリックし、ツールバーの [ティルト/ディセンタ] (Tilt/Decenter) アイコンをクリックします。

 

ここで次のように設定します。

 

[ティルト/ディセンタ エレメント](Tilt/Decenter Element) ツールは、前述のダブル ガウス レンズの例と同様に動作し、ミラー面のティルト角度を指定する座標ブレーク面がピックアップ ソルブ付きで新たに 2 つ追加されます。ここでは 2 組の座標ブレークが「ネスト」されています。つまり、[ティルト/ディセンタ エレメント] (Tilt/Decenter Element) ツールで追加した座標ブレークのペアが、[折り返しミラーの挿入] (Add Fold Mirror) ツールで追加したペアの内側にあります。

 

手動で +10°の値を変更して、シェーデッド モデルの変化を確認できます。または [最適化] (Optimize) タブをクリックして [スライダ](Slider) アイコンを選択します。

 

ここで次のように設定します。

 

 

[実行](Animate) ボタンをクリックすると、面 4 の [X ティルト](Tilt About X) (パラメータ 3) の走査に合わせて、開いているウィンドウのすべてが更新されます。マウスでスライダをドラッグしても同じ効果が得られます。スライダを終了し、必要に応じて面 4 のティルトを +10°に戻します。

 

次に、[設定] (Setup) タブに移動し、[コンフィグレーション] (Configurations) グループの [マルチコンフィグレーション] (Multiple Configuration) アイコンをクリックします。

 

 

このレンズに設定されているコンフィグレーションは、現在のところ 1 つのみです。マルチコンフィグレーションのオペランド MOFF (「Multiconfiguration OFF」) は、何の効果もないプレースホルダなので、必要に応じてここにコメントを入力できます。

 

 : マルチコンフィグレーション エディタでは、複数のコンフィグレーションどうしで異なる設定をすべて定義できます。

 

ここでは、走査角 +10°、+5°、0°、-5°、-10°のそれぞれに対応する 5 つのコンフィグレーションを定義します。[マルチコンフィグレーション エディタ] (Multi-Configuration Editor) をクリックし、[コンフィグレーションを挿入] (Insert Configuration) アイコン (上の図で赤枠で囲んだ部分) を 4 回クリックします。また、右クリックして [コンフィグレーションを挿入] (Insert Configuration) を 4 回選択する方法やShift + Ctrl + Insert キーを 4 回押す方法もあります。これらの操作によって合計 5 つのコンフィグレーションが作成されます。

 

 

マルチコンフィグレーション エディタの各行は、レンズ データ エディタに記述されたパラメータやその他の光学系パラメータに対して作用するオペランドであり、それらパラメータの値を変更できます。「MOFF」オペランドの上にマウスを移動し、ダブルクリックしてこのオペランドを編集します。表示されたダイアログのドロップダウン リストでは、OpticStudio がサポートするマルチコンフィグレーション のオペランドのすべてを選択できます。ここで次のように設定します。

 

 

「PRAM」オペランドは、パラメータ データをピックアップします。この場合は、面 4 のパラメータ 3 をピックアップし、10°、5°、0°、-5°、-10°に変更します。

 

Ctrl + A キーを押して現在のコンフィグレーションを変更すると、開いているすべてのウィンドウのデータが、新しいコンフィグレーションを反映した状態に更新されます。下図のコントロールを使用する方法もあります。

(マルチコンフィグレーション エディタに複数のコンフィグレーションを設定すると、[ファイル] (File) タブを除くすべてのタブに [コンフィグレーション] (Configuration) グループが表示されます。)各コンフィグレーションの列見出しをダブルクリックして、そのコンフィグレーションをアクティブなコンフィグレーションにすることもできます。

シェーデッド モデルを次のように設定します。

 

 

すべてのコンフィグレーションから、描画するコンフィグレーションの数を、たとえば 1/5 や 4/5 のように任意に選択できます。ドロップダウン リストから目的のコンフィグレーションを選択します。

 

次に、[解析] (Analyze) タブ → [スポット ダイアグラム](Spot Diagrams) → [コンフィグレーション マトリックス] (Configuration Matrix) をクリックします。

 

走査角の変化に伴って、スポットがどのように変化するかを確認してください。

 

 

最後に、レンズデータエディタツールバーで、[アパチャー](Apertures) →[半径を最大アパチャーに変換](Convert Semi-Diameters to Maximum Apertures) を選択します。

 

 

KA-01908

この記事は役に立ちましたか?
0人中0人がこの記事が役に立ったと言っています

コメント

0件のコメント

サインインしてコメントを残してください。