本記事では、シーケンシャルモードにおいて重要となる、視野と波長の設定方法について紹介します。これらは、システム エクスプローラの視野データエディタと波長データエディタを用いて設定できます。
著者 Takashi Ishikawa
システム エクスプローラでは、光学系に入射する光をはじめとして、光学系の数多くの基本的なパラメータを定義します。システム エクスプローラに入力したデータは、一度設定すれば変更しないことが普通です。または、設計が完成に近付いた時点でも、必要に応じてシステム エクスプローラのデータを全面的に最適化できるようにしている場合にのみ変更します。たとえば、今取り上げているレンズではアパチャー タイプを [入射瞳径] (Entrance Pupil Diameter) に設定しているので、入射瞳径として 33.33 レンズ ユニットを直接指定しています。長さの単位を持つ項目は、特に注記のないかぎり、すべてレンズ ユニットの単位で表します。[単位] (Units) タブをクリックすると、このレンズのレンズ ユニットとして指定されている単位を確認できます (mm、cm、m、インチのいずれかです)。
[視野] (Fields) セクション
入射瞳径 (EPD) は、レンズ光学系に入射する軸上光束のサイズを定義します。ここで取り上げているダブルガウス レンズのファイルは、従来の一眼レフ カメラ レンズのものです。OpticStudio では、この入射瞳径の半分の高さでレンズを通過する光線を追跡し、赤色の線で向かい合って描画されている開口絞り面 (レンズ データ エディタで STOP と表示されている面) のサイズを計算します。通常、開口絞り面は環状です。したがって、実際にはこの面の半径で EPD が決まるのであって、EPD で開口絞り面のサイズが決まるわけではありません。
実情に替わるこの定義を使用する場合は、[全般] (General) ダイアログ ボックスの [アパチャー タイプ] (Aperture Type) で [絞り面による定義] (Float by Stop) を選択し、絞り面の半径をたとえば 8 mm に変更します。開いているすべての解析ウィンドウをダブルクリックして更新し、この変更を反映することで、レンズのアパチャーと性能の変化を確認できます。OpticStudio では、面ごとにすべての光線が通過するうえで最適なサイズが自動的に計算されます。
広く使用されているアパチャー タイプとして物空間での NA もあります。規定の開口数 (NA) の範囲で光を放射する光ファイバのような光源に適しています。NA ではなく光源の角度で定義している光源では、物側円錐半角を使用します。
視野は次の 3 つの方法で定義できます。そのうち 1 つには 2 つのオプションがあります。
· 結像対象とする物体の高さ
· 形成される像の高さ。実像高または近軸像高を選択できます。
· レンズに対して物体が張る角度
視野データを入力するには、システム エクスプローラの [視野] (Fields) セクションを展開するか、[視野](Fields) のデータ セクションをダブルクリックしてダイアログ ボックスを表示します。
このダブルガウス レンズのファイルでは物体面が無限遠にあるため、視野の定義として物体高は使用できません。その代わりに、瞳に対して物体が張る画角を使用します。これはカメラの設計で広く使われる手法です。ディテクタのサイズが CCD チップのように固定されている場合は、像の高さを使用する方法もあります。この場合の視野は、レンズを通してディテクタで検出できる範囲で定義します。
[波長] (Wavelengths) セクション
波長は、必ずミクロン単位で入力します。波長の重み付けを使用すると、相対的なスペクトル強度を定義できるほか、単に設計上で最も重要な波長を定義することもできます。デフォルト波長としては「主」波長が使用されます。たとえば、有効焦点距離を計算する場合、特定の波長を指定しないかぎり、OpticStudio では主波長が使用されます。
波長データをシステム エクスプローラで入力するには、[波長] (Wavelengths) のデータ セクションを展開するか、ダブルクリックしてダイアログ ボックスを開きます。
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